囲炉夜話 / 第百七十九則・志を立てて君子と為る
才覺己有不是,便決意改圖,此立志為君子也。 明知人議其非,偏肆行無忌,此甘心為小人也。
新字:才覚己有不是,便決意改図,此立志為君子也。 明知人議其非,偏肆行無忌,此甘心為小人也。
書き下し
才かに己に不是有るを覺れば、便ち意を決して圖を改む、此れ志を立てて君子と為るなり。 明らかに人の其の非を議するを知りて、偏に肆に行ひて忌む無し、此れ心に甘んじて小人と為るなり。
現代語訳
自分に間違いがあると気づいたらすぐに、決心してやり方を改める、これは志を立てて君子になろうとすることです。人が自分の非を議論していると分かっていながら、わざと好き勝手にふるまって何もはばからない、これは自ら甘んじて小人になることです。
解説
君子と小人の分かれ目を、過ちへの反応に置く対句です。上の句の不是とは間違い、改図とはやり方を改めることです。気づいた瞬間に決意して改める人は、それだけで君子を志しているのだと言います。下の句は正反対で、人に非を指摘されていると分かっていながら、意地になってますますほしいままにふるまう人です。甘心とは、自分から進んでそれを受け入れることです。つまり君子も小人も生まれつきではなく、過ちに気づいた後の一歩で自分が選んでいるということです。指摘を受けて反発したくなったとき、改めるか開き直るかの分かれ道に立っていると思い出したい句です。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
改過君子小人立志修身
関連する章句
-
『養生訓』巻第六・択医一医とならば君子医となるべし、小人医となるべからず。君子医は人のためにす。人を救ふに、志専一なるなり。小人医はわが為にす。わが身の利養のみ志し、人をすくふに、志専ならず。医は仁術なり。人を救ふを以て志とすべし。是人のためにする君子医なり。人を救ふに志なくして、只身の利養を以て志とするは、是わがためにする小人医なり。医は病者を救はんための術なれば、病家の貴賤貧富の隔なく、心を尽して病を治すべし。病家よりまねかば、貴賤をわかたず、はやく行くべし、遅々すべからず。人の命は至りておもし、病人をおろそかにすべからず。是医となれる職分をつとむるなり。小人医は、医術流行すれば、我が身にほこりたかぶりて、貧賤なる病家をあなどる。是医の本意を失へり。
-
『翁問答』下卷之本聖人の才徳天地神明とおなじき故に、神明不測広大周備、言語道断なり、賢人の才徳も大かた聖人の体段そなはりぬれども、神明不測の位にいたらず、英雄は大将の才徳は賢人と同じけれども、余の才と徳とは賢人より一位おとりて英雄のかどあるなり、聖人賢人英雄この三人は、才徳の高下大小ありと雖、いづれも君子なれば治世にも乱世にも天下無双の重宝なる人なり、奸雄は敵を退治する一科の用に立つ事は賢人英雄にもおとらねども、明徳くらく邪欲ふかき故、むほん逆心の疑ひありて、味方のたのみあやうし、さて国治まりて仕置などまかせぬれば国をみだり、乱をおこすものなり、
-
『慎思録』巻之五唯君子のみ能く君子と小人とを知る。小人は君子の心を知ること能はず。反りて猜疑疾悪し、動もすれば妨害を為し、終に枉冤陥殺するに至る者も、亦之れ有り。且つ小人は小人の害を為すを察せず、引き進めて己の助けと為し、終に其の身を亡ぼすに至りて悟らず。至愚にして暁すべからずと謂ふべし。
-
論衡・『論衡』講瑞篇第五十・人が集まることは賢さの証ではない君子は世に在りて、清節自ら守り、広く従を結ばず、出入動作するも、人は附従せず。豪猾の人は、使いに任せ気を用い、往来進退すれば、士衆は雲のごとく合す。夫れ鳳皇は君子なり。必ず随う者の多きを以て鳳皇に験さば、是れ豪黠を君子と為すなり。歌曲は弥いよ妙なれば、和する者は弥いよ寡く、行操は益ます清ければ、交わる者は益ます鮮し。鳥獣も亦た然り。必ず附従を以て鳳皇に験さば、是れ和する者の多きを用て妙曲と為すなり。
-
論語・学而篇子曰く、「君子は食らうに飽くことを求めず、居るに安きを求めず、事に敏にして言に慎み、有道に就いて正す。学を好むと謂う可きのみ。」
-
『酔古堂剣掃』集醒・五更の頭に撿點す自家の是れ君子か小人かを知らんと要せば、只だ五更の頭に於いて撿點し、思想する的是れ甚麼なるかを便ち見得ん。