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囲炉夜話 / 第百六十七則・僥幸の心を存す可からず

人雖無艱難之時,要不可忘艱難之境。 世雖有僥幸之事,斷不可存僥幸之心。

新字:人雖無艱難之時,要不可忘艱難之境。 世雖有僥幸之事,断不可存僥幸之心。

書き下し

人艱難の時無しと雖も、要ず艱難の境を忘る可からず。 世に僥幸の事有りと雖も、斷じて僥幸の心を存す可からず。

現代語訳

今は苦しい時でなくても、苦しい境遇を忘れてはなりません。世の中には思いがけない幸運に恵まれることもありますが、決して幸運をあてにする心を持ってはなりません。

解説

順調なときの心構えを二つの面から示す対句です。上の句は、困難がない時にこそ困難の境遇を思い出せと言います。苦しかった頃を忘れると、驕りや油断が生まれ、備えが緩むからです。下の句の僥幸とは、努力によらずに転がり込む幸運のことです。世の中にそういう出来事があるのは事実だと認めたうえで、それを当てにする心を持つなと断じます。事実としての幸運は否定せず、心の置き方だけを正しているところが、この句の現実的なところです。好調な時期ほど、まぐれの成功を実力と取り違えていないか確かめたくなります。
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この章句が説くこと

艱難僥倖油断備え処世

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