囲炉夜話 / 第九十二則・靜は能く悟りを生ず
儉可養廉,覺茅舍竹籬,自饒清趣。 靜能生悟,即鳥啼花落,都是化機。
新字:倹可養廉,覚茅舎竹籬,自饒清趣。 静能生悟,即鳥啼花落,都是化機。
書き下し
儉は以て廉を養ふべし、茅舍竹籬も、自ら清趣に饒かなるを覺ゆ。 靜は能く悟りを生ず、即ち鳥啼き花落つるも、都て是れ化機なり。
現代語訳
倹約は清廉な心を養うことができます。茅ぶきの家や竹の垣根にも、おのずと清らかな趣がたっぷりあると感じられます。静けさは悟りを生みます。鳥が鳴き花が散ることさえ、すべて天地の造化のはたらきです。
解説
倹と静という二つの徳が、暮らしの見え方をどう変えるかを詩のように描いた則です。倹約を続けると廉、つまり欲に汚れない清らかさが育ち、粗末な住まいにもかえって清い趣が見えてきます。静かな心を保つと悟りが生まれ、鳥の声や散る花にも、万物を生み育てる化機、すなわち天地のはたらきが感じ取れるようになります。前半は物の持ち方、後半は心の持ち方で、どちらも外を足すのではなく内を整えることで世界が豊かになるという点でつながっています。今日の忙しい暮らしでも、物を減らし、少し黙る時間を作ると、見慣れた景色が違って見えることがあります。ぜいたくや刺激を足す前に、引く工夫を思い出させてくれます。
この章句が説くこと
勤倹清廉静悟り処世
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