囲炉夜話 / 第百六十則・一官手に到らば怎樣に施行せん
人皆欲貴也,請問一官到手,怎樣施行? 人皆欲富也,且問萬貫纏腰,如何布置?
新字:人皆欲貴也,請問一官到手,怎様施行? 人皆欲富也,且問万貫纏腰,如何布置?
書き下し
人皆な貴からんと欲す、請ふ問ふ、一官手に到らば、怎樣に施行せん。 人皆な富まんと欲す、且く問ふ、萬貫腰に纏はば、如何に布置せん。
現代語訳
人はみな身分が高くなりたいと願います。では尋ねますが、一つの官職が手に入ったら、どのように政を行うつもりですか。人はみな豊かになりたいと願います。では尋ねますが、一万貫の銭を腰に巻くほど手にしたら、それをどう配り置くつもりですか。
解説
欲しがる前に、手に入れた後を考えよと迫る対句です。怎樣、如何はどちらも「どのように」を表す言葉で、語りかける調子がよく出ています。万貫を腰に纏うとは、銭の束を腰に巻くほどの大金を持つことです。地位も財産も、多くの人は手に入れること自体を目標にしますが、著者は手に入れた後に何をするかを問います。官職なら民のために何を行うか、財なら誰にどう使うか。その答えを持たない者が地位や富を得ても、持て余すか、害をなすだけだという含みがあります。昇進や独立を望むとき、その先で何をするのかを先に書き出してみる、という実践につながります。
この章句が説くこと
富貴官職使命処世財
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