囲炉夜話 / 第百七十八則・善く其の財を用ふる能はざるを患ふ
財不患其不得,患財得而不能善用其財。 祿不患其不來,患祿來而不能無愧其祿。
新字:財不患其不得,患財得而不能善用其財。 禄不患其不来,患禄来而不能無愧其禄。
書き下し
財は其の得ざるを患へず、財得て善く其の財を用ふる能はざるを患ふ。 祿は其の來らざるを患へず、祿來りて其の祿に愧づる無き能はざるを患ふ。
現代語訳
財産は手に入らないことを心配するのではなく、手に入ったのにそれを上手に使えないことを心配すべきです。俸禄は得られないことを心配するのではなく、得られたのにその俸禄に恥じない働きができないことを心配すべきです。
解説
心配の向きを、得る前から得た後へと移す対句です。『論語』里仁篇の「位無きを患へず、立つ所以を患ふ」と同じ形の言い回しです。上の句では、財を得られるかより、得た財を善く用いられるかを気にせよと言います。下の句の禄は官吏の給与で、それが来るかどうかより、受け取る額に見合う働きをしているかを気にせよと言います。得ることばかり考える人は、得た後に使い方を誤ったり、名ばかりの地位に甘んじたりします。私の富と公の報酬の両方に、同じ責任の感覚を求めているのです。報酬を受け取るとき、それに恥じない仕事だったかを振り返る習慣につながります。
この章句が説くこと
財俸禄責任処世実用
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