囲炉夜話 / 第百四十九則・業を創むるには還た須らく深く慮るべし
守身不敢妄為,恐貽羞於父母。創業還須深慮,恐貽害於子孫。
書き下し
身を守りて敢へて妄りに爲さざるは、羞を父母に貽すを恐るればなり。 業を創むるには還た須らく深く慮るべし、害を子孫に貽すを恐るればなり。
現代語訳
身を守って軽はずみなことをしないのは、父母に恥を残すことを恐れるからです。事業を始めるときにも深く考え抜かなければならないのは、子孫に害を残すことを恐れるからです。
解説
父母と子孫という前後の世代を思うことで、今の自分の行いを律する則です。前半は、軽はずみなことをしないのは、自分の不始末が父母の名を汚すことを恐れるからだと言います。孝経の、身体髪膚之を父母に受く、敢えて毀傷せざるは孝の始めなり、に通じる考えです。後半は、事業を興すときに深く考え抜くのは、軽率な事業が子孫に負債や災いを残すことを恐れるからだと言います。前半は上の世代への責任、後半は下の世代への責任で、自分は二つの世代のあいだに立つつなぎ手だという自覚が、行いを慎ませるのです。今日でも、無理な借金や拙速な事業拡大が、後の世代に重荷を残すことがあります。自分一人の人生ではないと思うとき、判断は自然と慎重になります。
この章句が説くこと
孝創業慎重家訓子孫
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呂氏春秋・孝行⑥曾子曰く、「父母之を生む、子敢て殺さず。父母之を置く、子敢て廢せず。父母之を全くす、子敢て闕かず。故に舟して游がず、道して徑せず。能く支體を全うして、以て宗廟を守るを、孝と謂う可し。」
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論語・学而篇子曰く、「父在せば其の志を観、父没すれば其の行いを観る。三年父の道を改むること無くんば、孝と謂う可し。」
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