囲炉夜話 / 第百三十七則・到底忠厚の人は顛撲して破れず
世風之狡詐多端,到底忠厚人顛撲不破。 末俗以繁華相尚,終覺冷淡處趣味彌長。
新字:世風之狡詐多端,到底忠厚人顛撲不破。 末俗以繁華相尚,終覚冷淡処趣味弥長。
書き下し
世風の狡詐多端なるも、到底忠厚の人は顛撲して破れず。 末俗は繁華を以て相尚ぶも、終に冷淡の處に趣味彌々長きを覺ゆ。
現代語訳
世の気風はずる賢くいろいろな手管にあふれていますが、結局、誠実で情に厚い人は、どれほど揉まれても崩れません。末世の風俗は華やかさを互いに競い合いますが、最後には、あっさりとしたところにこそ味わいがいっそう長く続くと感じられます。
解説
世の風潮に流されない二つのもの、忠厚の人と冷淡の趣を挙げた則です。前半の顛撲不破は、どれだけ打ちつけても壊れないことで、狡猾な世の中でも、誠実で厚い人は結局つぶれないと言います。策略は一時は勝っても長続きせず、誠実は遅くても最後に残るという見方です。後半は、末世の人々が派手さを競い合うのに対し、冷淡、つまりさっぱりとして飾り気のないところにこそ、長く尽きない味わいがあると言います。前半は人の生き方、後半は暮らしの趣味で、どちらも時流に逆らって地味なものを選ぶ強さを示しています。今日でも、ずる賢いやり方が得をするように見える場面は多いですが、長い目で見て信頼を残すのは誠実な人です。派手な楽しみより、素朴な楽しみの方が飽きがきません。
この章句が説くこと
忠厚誠実淡泊時流処世
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