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囲炉夜話 / 第百三十一則・大家漸く消亡に及ぶは勢因循に成る

常人突遭禍患,可決其再興,心動於警惕也。 大家漸及消亡,難期其復振,勢成於因循也。

書き下し

常人突として禍患に遭ふは、其の再興を決すべし、心警惕に動けばなり。 大家漸く消亡に及ぶは、其の復た振るふを期し難し、勢因循に成ればなり。

現代語訳

ふつうの人が突然の災難に遭った場合は、必ず立ち直ると断言できます。心が警戒と慎みに動かされるからです。名家が少しずつ滅びに向かう場合は、ふたたび盛り返すことは期待しにくいのです。その勢いが古いしきたりのまま流されることによって出来上がっているからです。

解説

突然の災難と、ゆっくりした衰えとを比べ、どちらが立ち直りにくいかを見抜いた則です。ふつうの人が急な禍いに遭うと、心が警惕、つまり危機感で奮い立つので、かえって再起できると言います。一方、大きな家がじわじわと傾いていく場合は、因循、つまり古いやり方にずるずると流されることで勢いができてしまっているため、盛り返すのが難しいと言います。急な痛みは人を目覚めさせ、ゆるやかな衰えは人を眠らせるという、逆説的な対比がこの則の要です。今日の企業でも、急な危機に見舞われた会社が結束して立ち直る一方、長い低迷を当たり前にしてしまった老舗が静かに消えていくことがあります。気づかない衰えこそが一番怖いのです。

この章句が説くこと

因循警惕再興家訓危機

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