囲炉夜話 / 第八十則・能く子を教ふる者便ち是れなり
何謂享福之人?能讀書者便是。何謂創家之人?能教子者便是。
新字:何謂享福之人?能読書者便是。何謂創家之人?能教子者便是。
書き下し
何をか享福の人と謂ふ?能く書を讀む者便ち是れなり。何をか創家の人と謂ふ?能く子を教ふる者便ち是れなり。
現代語訳
どういう人を福を受けた人と言うのでしょうか。書物を読むことのできる人がそれです。どういう人を家を興す人と言うのでしょうか。子を教えることのできる人がそれです。
解説
問いと答えを二度繰り返して、福と家の繁栄の中身を定義し直した則です。享福とは幸福を享受することで、ふつうは財産や地位を思い浮かべますが、著者はそれを書物を読める境遇と力に置きます。創家とは家を興すことで、これも財を築くことではなく、子をしっかり教えられることだとします。読書は自分の心を養う福であり、教子は次の代へ家を渡す仕事であって、二句は自分と子孫という二つの時間軸を分担しています。囲炉夜話は冬の夜に家族へ語った書であり、この二つは全編を通じて繰り返される柱です。今日でも、学ぶ時間を持てることは贅沢な幸せですし、組織の本当の成果は人を育てたかどうかで測られます。財産の多寡ではなく、読むことと教えることを、自分の福の物差しにしてみたくなります。
この章句が説くこと
読書教子家訓福創業
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