囲炉夜話 / 第六十七則・耕讀の本原
耕所以養生,讀所以明道,此耕讀之本原也,而後世乃假以謀富貴矣。 衣取其蔽體,食取其充饑,此衣食之實用也,而時人乃藉以逞豪奢矣。
新字:耕所以養生,読所以明道,此耕読之本原也,而後世乃仮以謀富貴矣。 衣取其蔽体,食取其充饑,此衣食之実用也,而時人乃藉以逞豪奢矣。
書き下し
耕すは生を養ふ所以、讀むは道を明らかにする所以、此れ耕讀の本原なり、而るに後世は乃ち假りて以て富貴を謀る。 衣は其の體を蔽ふを取り、食は其の饑ゑを充たすを取る、此れ衣食の實用なり、而るに時人は乃ち藉りて以て豪奢を逞しくす。
現代語訳
耕すのは命を養うため、読むのは道を明らかにするためで、これが耕すことと読むことの本来の意味です。ところが後の世の人は、それを借りて富貴を得ようとはかるようになりました。衣は体をおおうため、食は飢えを満たすためで、これが衣食の本当の用です。ところが今の人は、それを借りてぜいたくをほしいままにしています。
解説
物事の本来の目的と、後から付け加わった欲とを対比した対句です。耕すことは生きるため、読書は道を明らかにするためという本原、すなわち根本の目的があるのに、後世はそれを富貴への手段にしてしまったと嘆きます。科挙のための読書が広がった時代への批判と読めます。後半は、衣食の実用は体を覆い飢えを満たすことにあるのに、今の人はそれを見せびらかしのぜいたくに使うと言います。手段が目的にすり替わると、学びも暮らしも本来の姿を失います。自分が何のために学び、何のために働いているのかを、あらためて問い直させる一則です。
この章句が説くこと
読書本分実用奢侈勤倹
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