囲炉夜話 / 第六十則・浪子頭を回らす
浪子回頭,仍不慚為君子。貴人失足,便貽笑於庸人。
書き下し
浪子頭を回らせば、仍ほ君子為るに慚ぢず。貴人足を失へば、便ち笑ひを庸人に貽す。
現代語訳
身を持ち崩した放蕩者でも心を入れ替えれば、なお君子となって恥じるところはありません。身分の高い人が一度踏み外せば、たちまち凡人の笑いものになります。
解説
過去より今の行いが人を決めるという点を、二つの方向から述べた対句です。浪子回頭は、放蕩息子が改心することで、今でも中国語の成句として使われます。過去にどれほど身を持ち崩しても、立ち返れば君子として恥じることはないと言います。了凡四訓の改過にも通じる、やり直しを肯定する言葉です。後半の失足は、足を踏み外す、つまり過ちを犯して身を誤ることです。高い地位の人は、一度の失敗で凡人にまで笑われます。今どん底にある人には励ましとなり、今高いところにいる人には戒めとなる、両方に向けた一則です。
この章句が説くこと
改過回心戒め君子処世
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論語・顔淵篇司馬牛、君子を問う。子曰く、「君子は憂えず懼れず。」曰く、「憂えず懼れざれば、斯れ之を君子と謂うか。」子曰く、「内に省みて疚しからずんば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。」
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論語・憲問篇子曰く、君子にして不仁なる者有るかな。未だ小人にして仁なる者有らざるなり。
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論語・学而篇子曰く、「君子は食らうに飽くことを求めず、居るに安きを求めず、事に敏にして言に慎み、有道に就いて正す。学を好むと謂う可きのみ。」
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論語・為政篇子曰く、「君子は器ならず。」
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論語・学而篇子曰く、「君子重からざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ、過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。」
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荀子・哀公篇哀公曰く、善し。敢えて問う、何如なれば斯ち之を君子と謂うべきか、と。孔子対えて曰く、所謂る君子なる者は、言は忠信にして心に徳とせず、仁義身に在りて色に伐(ほこ)らず、思慮明通にして辞は争わず。故に猶然として将に及ぶべきが如き者は、君子なり、と。