囲炉夜話 / 第四十五則・讀書に苦功を下さず
讀書不下苦功,妄想顯榮,豈有此理? 為人全無好處,欲邀福慶,從何得來?
新字:読書不下苦功,妄想顕栄,豈有此理? 為人全無好処,欲邀福慶,従何得来?
書き下し
書を讀みて苦功を下さず、妄りに顯榮を想ふ、豈に此の理有らんや。 人と為り全く好き處無くして、福慶を邀へんと欲するも、何に從りてか得來たらん。
現代語訳
書を読むのに苦労して力を注がないで、みだりに出世や栄達を夢見る。そんな道理があるでしょうか。人柄に良いところがまったくないのに、幸福やめでたいことを招こうとしても、どこから得られるでしょうか。
解説
努力なしに結果だけを望む心を、学問と人柄の両面から戒めた対句です。苦功は、骨の折れる努力、身を入れた修練のことです。清代の読書人にとって学問は栄達の道でしたが、苦労を惜しみながら出世だけを願うのは理屈に合わないと言います。後半は、人としての善いところがないのに福を求めても、それはどこからも来ないとします。福は善行や人柄の積み重ねの結果としてやってくるという考え方です。二句とも、原因を積まずに結果だけを欲しがることを戒めています。資格や昇進を望むとき、それに見合う積み重ねをしているかを問い直させる言葉です。
この章句が説くこと
読書努力因果積善戒め
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