囲炉夜話 / 第二十九則・一生但だ衣食に足れば
凡事謹守規模,必不大錯。一生但足衣食,便稱小康。
新字:凡事謹守規模,必不大錯。一生但足衣食,便称小康。
書き下し
凡そ事は謹んで規模を守らば、必ず大いに錯らず。一生但だ衣食に足れば、便ち小康と稱す。
現代語訳
何事も、定まった手順や決まりを慎んで守れば、決して大きく誤ることはありません。一生、ただ衣食に不足しなければ、それで小康(ほどほどの安らぎ)と言えます。
解説
手堅さと足るを知ることを説いた短い対句です。規模は、ここでは決まったやり方、手本となる型のことです。先人の定めた型を慎んで守れば、大きな間違いはしないと言います。後半の小康は、『礼記』礼運篇で大同に次ぐ世を指した語で、ここでは暮らしがほどほどに安定した状態を言います。衣食が足りればそれで十分と思える心が、欲に振り回されない穏やかさを生みます。型を守ることは新しいことを否定するのではなく、基本を外さないことです。大きな成功を追う前に、基本を守り、足りていることに気づく、その二つが暮らしを安定させます。
この章句が説くこと
知足規範小康慎み処世
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