囲炉夜話 / 第十則・吉凶は人に在り
卜筮以龜筮為重,故必龜從筮從,乃可言吉。若二者,有一不從,或二者俱不從,則宜其有凶無吉矣。乃洪範稽疑之篇,則於龜從筮逆者,仍曰作內吉。於龜筮共違於人者,仍曰用靜吉,是知吉凶在人,聖人之垂戒深矣。人誠能作內而不作外,用靜而不用作,循分守常,斯亦安往而不吉哉。
新字:卜筮以亀筮為重,故必亀従筮従,乃可言吉。若二者,有一不従,或二者倶不従,則宜其有凶無吉矣。乃洪範稽疑之篇,則於亀従筮逆者,仍曰作内吉。於亀筮共違於人者,仍曰用静吉,是知吉凶在人,聖人之垂戒深矣。人誠能作内而不作外,用静而不用作,循分守常,斯亦安往而不吉哉。
書き下し
卜筮は龜筮を以て重しと為す、故に必ず龜從ひ筮從ひて、乃ち吉と言ふべし。若し二者、一の從はざる有り、或いは二者俱に從はざれば、則ち宜なり其の凶有りて吉無きこと。乃ち洪範の稽疑の篇は、則ち龜從ひ筮逆ふ者に於いて、仍ほ內を作せば吉と曰ふ。龜筮共に人に違ふ者に於いて、仍ほ靜を用ふれば吉と曰ふ、是に吉凶は人に在るを知る、聖人の戒めを垂るること深し。人誠に能く內を作して外を作さず、靜を用ひて作を用ひず、分に循ひ常を守らば、斯れ亦た安くに往くとして吉ならざらんや。
現代語訳
占いでは亀の甲羅による卜と筮竹による筮とを重んじます。ですから必ず卜も筮も従う(よい兆しが出る)とき、はじめて吉と言えます。もし二つのうち一つが従わなかったり、両方とも従わなかったりすれば、凶ばかりで吉がないのも当然です。ところが『尚書』洪範篇の稽疑(疑いを考える)の条では、亀卜が従い筮が逆らう場合でも、なお内のことをすれば吉だと言います。亀卜と筮がともに人の意向に反する場合でも、なお静かにしていれば吉だと言います。ここから吉凶は人にかかっていることが分かり、聖人の戒めの深さが知れます。人が本当に、内のことをして外のことをせず、静かにして動きださず、分をわきまえて常の道を守ることができれば、どこへ行っても吉でないことがあるでしょうか。
解説

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