葉隠 / 聞書第十一
劍術聞書の内品々の事 皮を切らせて骨を切る事。無分別にならずば勝利なき事。
新字:剣術聞書の内品々の事 皮を切らせて骨を切る事。無分別にならずば勝利なき事。
書き下し
剣術聞書(けんじゅつききがき)の内、品々の事。皮を切らせて骨を切る事。無分別にならずば勝利なき事。
現代語訳
自分の皮を切らせてでも、敵の骨を断て。あれこれ思案する分別を捨て、無心の境地にならなければ勝利はない。これは剣術の伝書に記された心得の一つである。
解説
剣術の極意を武士の生き方に重ねた一条です。相手に浅手を負わせることを恐れて間合いを取っていては、決定的な一撃は打てません。多少の傷を覚悟のうえで踏み込んでこそ、敵の急所を断てるという「捨て身」の思想です。さらに「無分別」、すなわち損得や恐れを計算する頭を止め、無心で動く境地が勝敗を分けると説きます。現代でも、失敗を恐れて安全な間合いばかり取っていては勝負どころを逃す、という示唆として読めます。ただし無謀な突撃の勧めではなく、日々の鍛錬に裏打ちされた思い切りが前提である点を見落とさないことが大切です。
この章句が説くこと
葉隠剣術捨て身無分別無心勝負
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