葉隠 / 聞書第二
德ある人はゆとりがあり、小人は靜かな所がなくがたつき廻る德ある人は、胸中にゆるりとしたる所がありて、物毎せはしきことなし。小人は、靜かなる所なく、當り合ひ候て、がたつき廻り候なり。
新字:徳ある人はゆとりがあり、小人は静かな所がなくがたつき廻る徳ある人は、胸中にゆるりとしたる所がありて、物毎せはしきことなし。小人は、静かなる所なく、当り合ひ候て、がたつき廻り候なり。
書き下し
徳ある人はゆとりがあり、小人(しょうじん)は静かな所がなくがたつき廻る。徳ある人は、胸中にゆるりとしたる所がありて、物毎(ものごと)せわしきことなし。小人は、静かなる所なく、当り合(あ)い候て、がたつき廻り候なり。
現代語訳
徳のある人は、胸のうちにゆったりと落ち着いた所があって、何事にもせかせかしたところがない。それに対して器の小さい人は、心に静かな落ち着きがなく、あちこちにぶつかり合っては、そわそわと落ち着きなく動き回るものである。
解説
人物の器を「心のゆとり」で見分ける一条です。徳のある人は胸中にゆったりとした余裕があり、何事にも慌てず騒がず落ち着いている。一方、器の小さい人は心に静かな拠り所がないため、周囲とぶつかり、いつもそわそわと動き回る、と対比します。落ち着きは能力や修養の深さの表れであり、余裕は人を安心させ信頼を集めます。逆に、忙しなさや落ち着きのなさは内面の未熟さを露呈してしまう、というわけです。現代でも、本当に力のある人ほど泰然としているもの。心のゆとりをどう養うかは、人としての成熟を考える上で今なお大切なテーマだと気づかせてくれます。
この章句が説くこと
葉隠徳心のゆとり小人落ち着き泰然
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