葉隠 / 聞書第二
湛然和尚御申し候は、「常に氏神と心を釣り合うて居り申すべく候。運強くあるべく候。」と指南の由。
書き下し
湛然(たんねん)和尚御申し候は、「常に氏神(うじがみ)と心を釣り合うて居り申すべく候。運強くあるべく候。」と指南の由。
現代語訳
湛然和尚が言われるには、「常に氏神と心を釣り合わせて生きているのがよい。そうすれば運も強くなるだろう」と指南されたということである。
解説
湛然和尚の短い教えを伝えた条です。核心は「常に氏神と心を釣り合わせて居れ」という一言にあります。氏神とは土地や一族を守る神で、その神と心を通わせ、恥じない生き方をしていれば、自然と運も強くなるという教えです。ここには、神仏に見られているという意識が日々の行いを正し、後ろ暗さのない心が結果として幸運を呼ぶ、という信念が込められています。神頼みで運を得るのではなく、神と釣り合う清らかな心を保つことが運の土台だという考え方です。現代でも、常に誰かに見られていると思って恥じない行動を積み重ねることが、めぐりめぐって信頼や好機を引き寄せる、という形で通じる、静かな処世の知恵といえます。
この章句が説くこと
葉隠氏神運恥じない心神仏の意識湛然和尚