葉隠 / 聞書第二
御側の奉公はぶらぐ〜と年を重ね、自然と御用に立つ様に 御側の奉公は、成るべく差出でざる様に、ぶらぐ〜として年を重ね、自然と御用に立つ基と存じ奉り候。一家の内の様なればなり。外様の奉公は、それにては追附かず、随分逈追なく心掛け、上たる人の目にも附く心持あるなり。
書き下し
御側(おそば)の奉公は、成るべく差出(さしい)でざる様に、ぶらぶらとして年を重ね、自然(しぜん)と御用(ごよう)に立つ基(もとい)と存じ奉り候。一家(いっか)の内の様なればなり。外様(とざま)の奉公は、それにては追附(おいつ)かず、随分(ずいぶん)油断(ゆだん)なく心掛け、上(かみ)たる人の目にも附く心持あるなり。
現代語訳
主君のお側近くに仕える奉公は、なるべく出しゃばらないようにして、ゆったりと年を重ね、自然とお役に立つようになるのがよい。それが基本だと心得ている。お側というのは、いわば一つの家の内のようなものだからだ。一方、外様の奉公はそれでは間に合わない。よくよく油断なく心掛け、上に立つ人の目にも留まるようにという心構えが必要である。
解説
仕える立場によって奉公の作法が変わる、と説いた一条です。主君の側近くに仕える者は、いわば家族の一員のようなもの。だからこそ、出しゃばらず、ゆったりと年月を重ね、自然にお役に立つ存在になるのがよいといいます。逆に外様、つまり距離のある立場では同じやり方では埋もれてしまうため、油断なく努め、上役の目に留まるよう心掛けよ、と。近い間柄では控えめさが、遠い間柄では積極性が信頼を生むという、間合いに応じた処し方の知恵です。組織内での自分の位置づけを見極めて振る舞いを変えるという発想は、現代の職場の人間関係にも応用できます。
この章句が説くこと
葉隠奉公間合い側近外様控えめ