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葉隠 / 聞書第二

朋輩に席を越され、氣にせぬもするも時により事による謂はれ無く朋輩に席を越され、居肩下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐なきと云ひて愚意を申し、弓取などするもあり。いかがと申し候へば、それは時により事によるべし。

新字:朋輩に席を越され、気にせぬもするも時により事による謂はれ無く朋輩に席を越され、居肩下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐なきと云ひて愚意を申し、弓取などするもあり。いかがと申し候へば、それは時により事によるべし。

書き下し

謂(いわ)れ無く朋輩(ほうばい)に席を越され、居肩(いかた)下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐(ふがい)なきと云いて愚意(ぐい)を申し、弓取(ゆみと)りなどするもあり。いかがと申し候えば、それは時により事によるべし。

現代語訳

いわれもなく同輩に席次を越され、地位が下がったとき、少しも気にかけず奉公を続ける人がいる。またそれを不甲斐ないと言って自分の意見を申し立て、事を構える者もいる。どちらがよいかと問われれば、それは時と場合によるべきだ。

解説

理由もなく同輩に先を越され、地位が下がったとき、気にせず淡々と奉公を続ける者もいれば、不当だと申し立てて争う者もいる。どちらが正しいのか——常朝の答えは「時により事による」、すなわち一律の正解はない、というものです。ひたすら我慢すればよいわけでも、常に抗議すべきでもない。状況を見極めて対応せよ、という現実的でバランスの取れた助言です。理不尽な処遇にどう向き合うかは、現代の職場でも尽きない悩み。原則論に飛びつかず、その時々の文脈に応じて判断する柔軟さの大切さを教えてくれます。

この章句が説くこと

葉隠処遇席次忍耐抗議状況判断

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