葉隠 / 聞書第二
謂はれ無く朋輩に席を越され、居肩下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐なきと云ひて愚意を申し、弓取などするもあり。いかがと申し候へば、それは時により事によるべし。
書き下し
謂(いわ)れ無く朋輩(ほうばい)に席を越され、居肩(いかた)下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐(ふがい)なきと云いて愚意(ぐい)を申し、弓取(ゆみと)りなどするもあり。いかがと申し候えば、それは時により事によるべし。
現代語訳
いわれもなく同輩に席次を越され、地位が下がったとき、少しも気にかけず奉公を続ける人がいる。またそれを不甲斐ないと言って自分の意見を申し立て、事を構える者もいる。どちらがよいかと問われれば、それは時と場合によるべきだ。
解説
理由もなく同輩に先を越され、地位が下がったとき、気にせず淡々と奉公を続ける者もいれば、不当だと申し立てて争う者もいる。どちらが正しいのか——常朝の答えは「時により事による」、すなわち一律の正解はない、というものです。ひたすら我慢すればよいわけでも、常に抗議すべきでもない。状況を見極めて対応せよ、という現実的でバランスの取れた助言です。理不尽な処遇にどう向き合うかは、現代の職場でも尽きない悩み。原則論に飛びつかず、その時々の文脈に応じて判断する柔軟さの大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
葉隠処遇席次忍耐抗議状況判断
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孟子・萬章章句下齊の宣王、卿を問う。孟子曰く、「王何の卿を之れ問うや。」王曰く、「卿同じからざるか。」曰く、「同じからず。貴戚の卿有り、異姓の卿有り。」王曰く、「貴戚の卿を請い問う。」曰く、「君に大過有れば則ち諫め、之を反覆して聽かざれば、則ち位を易う。」王勃然として色を變ず。曰く、「王異むこと勿れ。王、臣に問う、臣敢て正を以て對えずんばあらず。」王色定まり、然る後異姓の卿を請い問う。曰く、「君に過ち有れば則ち諫め、之を反覆して聽かざれば、則ち去る。」
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孫子・九地篇孫子曰く、凡そ用兵の法は、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、囲地有り、死地有り。
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