葉隠 / 聞書第二
謂はれ無く朋輩に席を越され、居肩下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐なきと云ひて愚意を申し、弓取などするもあり。いかがと申し候へば、それは時により事によるべし。
書き下し
謂(いわ)れ無く朋輩(ほうばい)に席を越され、居肩(いかた)下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。又それを腑甲斐(ふがい)なきと云いて愚意(ぐい)を申し、弓取(ゆみと)りなどするもあり。いかがと申し候えば、それは時により事によるべし。
現代語訳
いわれもなく同輩に席次を越され、地位が下がったとき、少しも気にかけず奉公を続ける人がいる。またそれを不甲斐ないと言って自分の意見を申し立て、事を構える者もいる。どちらがよいかと問われれば、それは時と場合によるべきだ。
解説
理由もなく同輩に先を越され、地位が下がったとき、気にせず淡々と奉公を続ける者もいれば、不当だと申し立てて争う者もいる。どちらが正しいのか——常朝の答えは「時により事による」、すなわち一律の正解はない、というものです。ひたすら我慢すればよいわけでも、常に抗議すべきでもない。状況を見極めて対応せよ、という現実的でバランスの取れた助言です。理不尽な処遇にどう向き合うかは、現代の職場でも尽きない悩み。原則論に飛びつかず、その時々の文脈に応じて判断する柔軟さの大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
葉隠処遇席次忍耐抗議状況判断
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孟子・盡心章句下齊饑う。陳臻曰く、「國人皆以えらく、夫子將に復た棠を發くことを為さんとす、と。殆ど復びす可からざるか。」孟子曰く、「是れ馮婦を為すなり。晉人に馮婦という者有り。善く虎を搏つ。卒に善士と為る。則ち野に之く。衆虎を逐う有り。虎、嵎を負う。之に敢て攖(せまる)る莫し。馮婦を望見し、趨りて之を迎う。馮婦、臂を攘(はらう)いて車を下る。衆皆之を悅びしも、其の士為る者は之を笑えり。」
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『武家家訓集』朝倉敏景十七箇条「第十三条」一、勝つべき合戰、取るべき城攻め等の時、吉日を選び方角を考へて、時日を移す事甚だ口惜しく候。如何に能き日なりとて、大風に船を出し、大勢に獨り向かはば其の甲斐有るべからず候。假令難所惡日たりとも、細かに虛實を察して、密々に奇正を整へ、臨機應變して謀を本とせば、必ず勝利を得らるべき事、
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