葉隠 / 聞書第一
歌の讀方に、續けから、てにはが大事なりと云へり。これを思ふに、常々の物言、心を附くべき事なり。
新字:歌の読方に、続けから、てにはが大事なりと云へり。これを思ふに、常々の物言、心を附くべき事なり。
書き下し
歌(うた)の読(よ)み方(かた)に、続(つづ)けから(句のつなげ方)、てには(てにをは=助詞)が大事(だいじ)なりといえり。これを思(おも)うに、常々(つねづね)の物言(ものい)い、心(こころ)を付(つ)くべきことなり。
現代語訳
和歌の詠み方では、句と句のつなげ方と、てにをは(助詞)が大事だと言われている。これを思えば、日ごろの言葉づかいにこそ、心を配るべきなのだ。
解説
和歌の詠み方では、句と句のつなげ方(続け)と、てにをは(助詞)が大事だと言われる。それを思えば、日ごろの言葉づかいにこそ心を配るべきだ、と説く一節です。歌という特別な場だけでなく、ふだんのものの言い方に細やかな注意を向けよ、という教えです。背景には、言葉の一つひとつに人柄や覚悟が表れるという『葉隠』の言語観があります。実際、助詞ひとつ、話のつなぎ方ひとつで、印象や意味は大きく変わります。現代でも、丁寧な言葉の運びは信頼を生み、雑な物言いは思わぬ誤解を招きます。特別な場面で取り繕うより、日常の言葉を磨くことが人を作る、と読めるでしょう。
この章句が説くこと
言葉づかい日常の物言いてにをは言葉が人を表す細やかさ信頼
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