葉隠 / 聞書第一
一家一族の不仲は欲心よりおこるなり。主從仲悪しきといふ事のなきが證據なり。
新字:一家一族の不仲は欲心よりおこるなり。主従仲悪しきといふ事のなきが證拠なり。
書き下し
一家一族(いっかいちぞく)の不仲(ふなか)は欲心(よくしん)よりおこるなり。主従(しゅじゅう)仲(なか)悪(あ)しきということのなきが証拠(しょうこ)なり。
現代語訳
一家一族の不和は、欲得の心から起こるものである。主君と家来の間に仲たがいということが(ほとんど)ないのが、その証拠だ。
解説
一家や一族の争いは、つきつめれば財産や取り分をめぐる欲から生まれる、と説く一節です。『葉隠』はその証拠として、主君と家来の間には同じような不和がほとんど起きないことを挙げます。主従を結ぶのが損得ではなく忠義だからだ、という見立てです。裏返せば、血縁という近い関係ほど、相続や分け前をめぐって欲がむき出しになりやすいということでしょう。現代でも、家族や身内、共同経営の仲がこじれる原因の多くはお金や利害にあります。関係そのものより損得が先に立つと、絆はほどけてしまう。何が争いの火種になっているのかを冷静に見抜く目を持ちたいものです。
この章句が説くこと
欲と不和利害と絆家族の争い忠義人間関係損得を超える
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