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葉隠 / 聞書第一

何ぞ人が人に劣るべきや。一働きはしかとするものと覺えたり。三谷如休は、「病死も二三日はこたへ申すべし。」と申し候なり。口傳。

新字:何ぞ人が人に劣るべきや。一働きはしかとするものと覚えたり。三谷如休は、「病死も二三日はこたへ申すべし。」と申し候なり。口伝。

書き下し

何ぞ人が人に劣るべきや。一働(ひとはたら)きはしかとするものと覚えたり。三谷如休(みたにじょきゅう)は、「病死も二三日はこたへ申すべし。」と申し候なり。口伝(くでん)。

現代語訳

どうして人が人に劣ることがあろうか。ひと働きは必ずしっかりやり遂げられるものだと心得ている。三谷如休は「たとえ病死する時でも、二、三日は死ぬのをこらえて踏みとどまれるものだ」と言った。(詳しくは)口伝である。

解説

人は誰しも劣らぬ力を持ち、いざとなれば必ずひと働きできる、という気概を説く一節です。前の「名人も人、我も人」と同じく、自分を過小評価せず立ち向かう姿勢を促します。三谷如休の「病死でも二、三日はこらえられる」という言葉は、字義どおりの医学的な話というより、強い意志があれば命の際でも粘り、なすべきことを果たせるという覚悟の比喩と読めます。人の底力は、本人が思うより大きいというわけです。現代でも、「もう無理だ」と諦めた先に、意志の力で踏ん張れる余地が残っていることは少なくありません。ただし精神論を万能とみなすのは禁物で、自分を励ます気概の言葉として受け取るのが穏当でしょう。

この章句が説くこと

気概底力意志の力対等意識粘り覚悟

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