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五常訓 / 巻之五・信

信は、天道にていはゞ誠なり。眞實無妄を誠と云ふ。天道に春夏秋冬の四時あり。其内に土用あり。四時に元亨利貞の四德あり。四德の實にして、萬世までたがはざるは誠なり。人に仁義禮智ありて、其內に信ある亦かくの如し。元亨利貞、四時のめぐりの序ちがはざるは、卽誠なり。天道の、春生じ、夏長じ、秋をさめ、冬かくすこと、年々同じく、日月のめぐり、四時の溫熱涼寒、人物のかたちも性も、萬古より今に至りてかはらず。桃花は年々紅に、李花は年々白きも、皆是天道の誠たがはざるなり。天道にありては誠と云ひ、人に生れつきては信と云ふ。天にあり、人にある、理は一なり。

新字:信は、天道にていはゞ誠なり。真実無妄を誠と云ふ。天道に春夏秋冬の四時あり。其内に土用あり。四時に元亨利貞の四徳あり。四徳の実にして、万世までたがはざるは誠なり。人に仁義礼智ありて、其内に信ある亦かくの如し。元亨利貞、四時のめぐりの序ちがはざるは、即誠なり。天道の、春生じ、夏長じ、秋をさめ、冬かくすこと、年々同じく、日月のめぐり、四時の温熱涼寒、人物のかたちも性も、万古より今に至りてかはらず。桃花は年々紅に、李花は年々白きも、皆是天道の誠たがはざるなり。天道にありては誠と云ひ、人に生れつきては信と云ふ。天にあり、人にある、理は一なり。

書き下し

信は、天道にていはば誠なり。真実無妄を誠と云ふ。天道に春夏秋冬の四時あり。其内に土用あり。四時に元亨利貞の四徳あり。四徳の実にして、万世までたがはざるは誠なり。人に仁義礼智ありて、其内に信ある亦かくの如し。元亨利貞、四時のめぐりの序ちがはざるは、即誠なり。天道の、春生じ、夏長じ、秋をさめ、冬かくすこと、年々同じく、日月のめぐり、四時の温熱涼寒、人物のかたちも性も、万古より今に至りてかはらず。桃花は年々紅に、李花は年々白きも、皆是天道の誠たがはざるなり。天道にありては誠と云ひ、人に生れつきては信と云ふ。天にあり、人にある、理は一なり。

現代語訳

信は、天の道で言えば誠です。真実で偽りのないことを誠といいます。天の道には春夏秋冬の四季があります。その中に土用があります。四季には元亨利貞の四徳があります。四徳が実で、万世まで違わないのは誠です。人に仁義礼智があって、その中に信があるのもまたこのようなものです。元亨利貞や四季のめぐりの順序が違わないのは、すなわち誠です。天の道が春に生じ、夏に長じ、秋に収め、冬に隠すことが毎年同じであり、日月のめぐり、四季の温熱涼寒、人や物の形も性も、万古から今に至るまで変わりません。桃の花が毎年紅く、李の花が毎年白いのも、皆天の道の誠が違わないからです。天にあっては誠といい、人に生まれついては信といいます。天にあるのも人にあるのも、理は一つです。

解説

信を天の道の誠と結びつけて説いています。春夏秋冬の順序が狂わず、日月が同じようにめぐり、桃の花は毎年紅く李の花は毎年白い、この変わらなさが天の誠であり、それが人に宿ったものが信だというのです。中庸の「誠は天の道なり」を踏まえた、朱子学の天人合一の考え方です。桃と李の花の比喩は、自然をよく観察した本草学者益軒らしい具体性があります。毎年同じように咲く花のように、言葉と行いが変わらないことが人の信頼の土台になります。

この章句が説くこと

信誠天道四季中庸

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