導師導古典を学びたいすべての人に

五行大義 / 第二十一論五帝

秦以金德代周。二世而亡。漢以火行繼周。代秦偽金。故其祚長遠。若是其行次者。則有符瑞也。春秋元命苞云。堯火精。故慶都感赤龍而生。漢以孔子獲麟得圖書云。姬周亡。火曜。劉起。帝卯金。故高祖斬白蛇。而神母哭云。赤帝子殺我白帝子。光武感赤伏符而中興。此皆火德之徵也。四行所感。例皆如此。往代帝王。符瑞非一。不可具述。今略論五帝配五行如此。

新字:秦以金徳代周。二世而亡。漢以火行継周。代秦偽金。故其祚長遠。若是其行次者。則有符瑞也。春秋元命苞云。堯火精。故慶都感赤竜而生。漢以孔子獲麟得図書云。姫周亡。火曜。劉起。帝卯金。故高祖斬白蛇。而神母哭云。赤帝子殺我白帝子。光武感赤伏符而中興。此皆火徳之徴也。四行所感。例皆如此。往代帝王。符瑞非一。不可具述。今略論五帝配五行如此。

書き下し

秦は金徳を以て周に代わり、二世にして亡(ほろ)ぶ。漢は火行を以て周を継ぎ、秦の偽金に代わる、故にその祚(そ)長遠なり。若し是れその行次なる者は、則ち符瑞有るなり。春秋元命苞に云う、堯は火精なり、故に慶都赤竜に感じて生む、と。漢は孔子の麟を獲て図書を得るを以て云う、姫周亡び、火曜き、劉起こり、帝は卯金なり、と。故に高祖白蛇を斬りて、神母哭して云う、赤帝の子、我が白帝の子を殺す、と。光武は赤伏符に感じて中興す。此れ皆火徳の徴なり。四行の感ずる所も、例して皆此くの如し。往代の帝王の符瑞は一に非ず、具に述ぶべからず。今略して五帝の五行に配することを論ずること此くの如し。

現代語訳

秦は金の徳によって周に代わったが、二代で滅んだ。漢は火の行によって周を継ぎ、秦の偽りの金に代わった。だからその国運は長く遠く続いた。このように五行の順序に合っている者には、めでたいしるしが現れるのである。『春秋元命苞』にいう。堯は火の精である。だから(母の)慶都は赤竜に感じて生んだ、と。漢については、孔子が麒麟を捕らえて図書を得たことにちなんで、「姫姓の周が滅び、火が輝き、劉氏が起こる。帝は卯金(劉の字を分けたもの)である」といわれた。だから高祖(劉邦)が白蛇を斬ったとき、神の老母が泣いて「赤帝の子が、わが白帝の子を殺した」と言ったのである。光武帝は赤伏符(天命を告げる赤い予言の符)に感じて漢を中興した。これらはみな火徳のしるしである。他の四つの行が感じるところも、例によってみなこのようなものである。過去の帝王のめでたいしるしは一つではなく、すべてを述べることはできない。今は簡略に、五帝を五行に配することを以上のように論じた。

解説

前段の「順序によらない者は終わりを全うしない」を、秦と漢の実例で示して第二十一段を結ぶ。秦は始皇帝が水徳を称したことで知られるが、ここでは周に代わった金徳の王朝とされ、しかも五行の正しい順序に乗らない偽の金だったから二代で滅んだとされる。これに対して漢は、周の後を正しく受け継ぐ火徳の王朝で、だからこそ長く続いたという。秦を正統の順序から外れた仮の王朝とみなし、漢を堯の子孫で火徳とする見方は、前漢末から後漢にかけて定着したものである。証拠として挙げられるのが、劉邦が白蛇を斬ると老婆が「赤帝の子が白帝の子を殺した」と泣いたという『史記』高祖本紀の話や、光武帝が赤伏符を受けて即位した話である。予言や瑞兆が王朝の正統性の宣伝として使われたことがよくわかる。勝った側が後から天命のしるしを語るのは歴史の常であり、その語りを一歩引いて読む目を持ちたい。

この章句が説くこと

五行大義五徳火徳符瑞秦漢

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る