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学問のすゝめ / 十五編・事物を疑いて取捨を断ずること・彼の風俗ことごとく美にして信ずべきにあらず

なんぞそれ事物を信ずるの軽々にして、またこれを疑うの粗忽なるや。西洋の文明はわが国の右に出ずること必ず数等ならんといえども、けっして文明の十全なるものにあらず。その欠点を計うれば枚挙に遑あらず。彼の風俗ことごとく美にして信ずべきにあらず、我の習慣ことごとく醜にして疑うべきにあらず。

書き下し

なんぞそれ事物を信ずるの軽々にして、またこれを疑うの粗忽なるや。西洋の文明はわが国の右に出ずること必ず数等ならんといえども、けっして文明の十全なるものにあらず。その欠点を計うれば枚挙に遑あらず。彼の風俗ことごとく美にして信ずべきにあらず、我の習慣ことごとく醜にして疑うべきにあらず。

現代語訳

どうしてそんなに事物を信じることが軽々しく、またこれを疑うことが粗忽なのでしょうか。西洋の文明はわが国の上に出ることが必ず数段でしょうが、決して文明として完全なものではありません。その欠点を数えれば切りがありません。あちらの風俗がことごとく美しくて信じるべきものではなく、こちらの習慣がことごとく醜くて疑うべきものでもありません。

解説

十五編の判断基準が一行に凝縮されます。向こうの風俗がすべて信じるに足るのでもなく、こちらの習慣がすべて疑うに足るのでもない。西洋が数段上であることは率直に認めたうえで、完全ではないと限定します。全肯定と全否定の両方を退け、一つずつ見分けよという態度です。信じすぎと疑いすぎの間に立つ、この編の結論がここで示されています。

この章句が説くこと

基準部分全否定全肯定見分け

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