学問のすゝめ / 十三編・怨望の人間に害あるを論ず・自由に言わしめ自由に働かしめ
右の次第をもって考うれば、言路を塞ぎ、業作を妨ぐるのことは、ひとり政府のみの病にあらず、全国人民の間に流行するものにて、学者といえども、あるいはこれを免れ難し。人生活発の気力は物に接せざれば生じ難し。自由に言わしめ、自由に働かしめ、富貴も貧賤もただ本人のみずから取るにまかして、他よりこれを妨ぐべからざるなり。
書き下し
右の次第をもって考うれば、言路を塞ぎ、業作を妨ぐるのことは、ひとり政府のみの病にあらず、全国人民の間に流行するものにて、学者といえども、あるいはこれを免れ難し。人生活発の気力は物に接せざれば生じ難し。自由に言わしめ、自由に働かしめ、富貴も貧賤もただ本人のみずから取るにまかして、他よりこれを妨ぐべからざるなり。
現代語訳
右の次第で考えれば、言論の道を塞ぎ仕事を妨げることは、政府だけの病ではなく、全国の人民の間に流行するもので、学者といえどもこれを免れがたい。人の活発な気力は物に接しなければ生じにくい。自由に言わせ、自由に働かせ、富貴も貧賤もただ本人が自ら取るのに任せて、他からこれを妨げてはならないのです。
解説
十三編が二つの命令で結ばれます。自由に言わせよ、自由に働かせよ。そして結果は本人に取らせ、外から妨げるな、と。前段までに積み上げた分析が、実行できる形に凝縮されています。学者も免れがたいという一言が加わるのが誠実で、批判の対象に自分を含めています。怨望という感情の話が、最後は他人の道を塞がないという行動の規範に着地します。
この章句が説くこと
自由言論仕事自得規範
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