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学問のすゝめ / 十二編・人の品行は高尚ならざるべからざるの論・もっとも賤しむべき部分の得

学校の名誉は学科の高尚なると、その教法の巧みなると、その人物の品行高くして、議論の賤しからざるとによるのみ。ゆえに今の学校を支配して今の学校に学ぶ者は、他の賤しき学校に比較せずして、世界中上流の学校を見て得失を弁ぜざるべからず。風俗の美にして取締りの行き届きたるも学校の一得と言うべしといえども、その得は学校たるもののもっとも賤しむべき部分の得なれば、毫もこれを誇るに足らず。上流の学校に比較せんとするには別に勉むるところなかるべからず。ゆえに学校の急務としていわゆる取締りの事を談ずるの間は、たといその取締りはよく行き届くも、けっしてその有様に満足すべからざるなり。

書き下し

学校の名誉は学科の高尚なると、その教法の巧みなると、その人物の品行高くして、議論の賤しからざるとによるのみ。ゆえに今の学校を支配して今の学校に学ぶ者は、他の賤しき学校に比較せずして、世界中上流の学校を見て得失を弁ぜざるべからず。風俗の美にして取締りの行き届きたるも学校の一得と言うべしといえども、その得は学校たるもののもっとも賤しむべき部分の得なれば、毫もこれを誇るに足らず。上流の学校に比較せんとするには別に勉むるところなかるべからず。ゆえに学校の急務としていわゆる取締りの事を談ずるの間は、たといその取締りはよく行き届くも、けっしてその有様に満足すべからざるなり。

現代語訳

学校の名誉は、学科が高尚なことと、その教え方が巧みなことと、その人物の品行が高く議論が卑しくないことによるだけです。ですから今の学校を運営し今の学校で学ぶ者は、他の卑しい学校と比べるのではなく、世界中の上流の学校を見て得失を判断しなければなりません。風俗が美しく取り締まりが行き届いていることも学校の一つの長所と言えますが、その長所は学校というものの最も卑しむべき部分の長所ですから、少しも誇るに足りません。上流の学校と比べようとするには、別に努めるところがなくてはなりません。ですから学校の急務としていわゆる取り締まりのことを論じている間は、たとえその取り締まりがよく行き届いても、決してそのありさまに満足してはなりません。

解説

学校の名誉が三つに定義されます。学科の高さ、教え方の巧みさ、人物の品行と議論の水準です。取り締まりはその中に入っていません。最も卑しむべき部分の長所だ、という言い方が厳しく、風紀を誇る学校を一段低く置いています。そして比較の相手が指定される。他の卑しい学校ではなく世界の上流を見よ、と。前段の比較論が、自分の塾の経営方針として具体化されています。

この章句が説くこと

名誉学科教法比較世界

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