学問のすゝめ / 十編・前編のつづき、中津の旧友に贈る・人の天性にはなおこれよりも高き約束あり
前編に学問の旨を二様に分けてこれを論じ、その議論を概すれば、「人たるものはただ一身一家の衣食を給し、もってみずから満足すべからず、人の天性にはなおこれよりも高き約束あるものなれば、人間交際の仲間に入り、その仲間たる身分をもって世のために勉むるところなかるべからず」との趣意を述べたるなり。
書き下し
前編に学問の旨を二様に分けてこれを論じ、その議論を概すれば、「人たるものはただ一身一家の衣食を給し、もってみずから満足すべからず、人の天性にはなおこれよりも高き約束あるものなれば、人間交際の仲間に入り、その仲間たる身分をもって世のために勉むるところなかるべからず」との趣意を述べたるなり。
現代語訳
前編で学問の趣旨を二通りに分けて論じ、その議論をまとめれば、人たる者はただ一身一家の衣食をまかなってそれで満足してはならない、人の天性にはなおこれより高い約束があるのだから、人の交わりの仲間に入り、その仲間としての身分で世のために努めるところがなくてはならない、という趣旨を述べたのです。
解説
十編の冒頭で、九編の要約が置かれます。読者が前編を読んでいなくても入れるようにする配慮です。要点は二つ。生計の充足で満足しないこと、そして交わりの一員として世のために努めること。天性にもっと高い約束がある、という言い方が特徴的で、義務として押しつけるのではなく、人が本来持っている性質の実現として語られているのが分かります。
この章句が説くこと
要約天性約束交際務め
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