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学問のすゝめ / 二編・人は同等なること・双方その職分を尽くして

これすなわち政府と人民との約束なり。ゆえに百姓・町人は年貢・運上を出だして固く国法を守れば、その職分を尽くしたりと言うべし。政府は年貢・運上を取りて正しくその使い払いを立て人民を保護すれば、その職分を尽くしたりと言うべし。双方すでにその職分を尽くして約束を違うることなきうえは、さらになんらの申し分もあるべからず、おのおのその権理通義を逞しゅうして少しも妨げをなすの理なし。

書き下し

これすなわち政府と人民との約束なり。ゆえに百姓・町人は年貢・運上を出だして固く国法を守れば、その職分を尽くしたりと言うべし。政府は年貢・運上を取りて正しくその使い払いを立て、人民を保護すれば、その職分を尽くしたりと言うべし。双方すでにその職分を尽くして約束を違うることなきうえは、さらになんらの申し分もあるべからず、おのおのその権理通義を逞しゅうして、少しも妨げをなすの理なし。

現代語訳

これが政府と人民の約束です。ですから百姓や町人は、年貢や運上を出して固く国法を守れば、その職分を尽くしたと言うべきです。政府は年貢や運上を取って正しくその使い道を立て、人民を保護すれば、その職分を尽くしたと言うべきです。双方がすでにその職分を尽くして約束に違うことがない以上、それ以上何の申し分もあるはずがなく、それぞれが自分の権利を存分に働かせて、少しも妨げ合う道理はありません。

解説

約束の内容が、双方向で明記されます。人民は税を納め法を守る。政府は税の使い道を正しく立て人民を保護する。どちらも職分であって恩ではない、という対称性が肝心です。契約を果たしている限り、互いに権利を主張して構わない。上下ではなく対等な履行関係として政治を捉え直しており、次の段でこの対称性が、恩を着せる側への反論の武器になります。
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この章句が説くこと

約束職分対称履行権利

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