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学問のすゝめ / 初編・アフリカの黒奴にも恐れ入り

日本とても西洋諸国とても同じ天地の間にありて、同じ日輪に照らされ、同じ月を眺め、海をともにし、空気をともにし、情合い相同じき人民なれば、ここに余るものは彼に渡し、彼に余るものは我に取り、互いに相教え互いに相学び、恥ずることもなく誇ることもなく、互いに便利を達し互いにその幸いを祈り、天理人道に従いて互いの交わりを結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、道のためにはイギリス・アメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申すべきなり。

書き下し

日本とても西洋諸国とても同じ天地の間にありて、同じ日輪に照らされ、同じ月を眺め、海をともにし、空気をともにし、情合い相同じき人民なれば、ここに余るものは彼に渡し、彼に余るものは我に取り、互いに相教え互いに相学び、恥ずることもなく誇ることもなく、互いに便利を達し互いにその幸いを祈り、天理人道に従いて互いの交わりを結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、道のためにはイギリス・アメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申すべきなり。

現代語訳

日本であれ西洋諸国であれ、同じ天地の間にあって、同じ太陽に照らされ、同じ月を眺め、海をともにし、空気をともにし、心の通い合う同じ人間なのですから、こちらに余るものはあちらに渡し、あちらに余るものはこちらが取り、互いに教え合い学び合い、恥じることもなく誇ることもなく、互いに便利を得て互いの幸いを祈り、天の理と人の道に従って互いの交わりを結び、道理のためにはアフリカの奴隷にも恐れ入り、道のためにはイギリスやアメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とあれば日本中の人民が一人残らず命を捨てて国の威光を落とさないこと、これこそ一国の自由独立と言うべきです。

解説

この書でもっとも有名な一句の一つ、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、が置かれます。相手が誰であろうと、道理が向こうにあれば頭を下げる。逆に道理がこちらにあれば軍艦にも屈しない。判断の基準を力ではなく理に置くという宣言です。当時の身分や人種の序列を前提にした社会で、この一行がどれほど強い主張だったかが分かります。

この章句が説くこと

道理対等独立恐れ基準

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