学問のすゝめ / 初編・むずかしき仕事とやすき仕事
また世の中にむずかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。そのむずかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人という。すべて心を用い、心配する仕事はむずかしくして、手足を用うる力役はやすし。ゆえに医者、学者、政府の役人、または大なる商売をする町人、あまたの奉公人を召し使う大百姓などは、身分重くして貴き者と言うべし。
書き下し
また世の中にむずかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。そのむずかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人という。すべて心を用い、心配する仕事はむずかしくして、手足を用うる力役はやすし。ゆえに医者、学者、政府の役人、または大なる商売をする町人、あまたの奉公人を召し使う大百姓などは、身分重くして貴き者と言うべし。
現代語訳
また世の中には難しい仕事もあり、やさしい仕事もあります。その難しい仕事をする者を身分の重い人と名づけ、やさしい仕事をする者を身分の軽い人といいます。およそ心を用い、気を配る仕事は難しく、手足を使う力仕事はやさしい。ですから医者、学者、政府の役人、あるいは大きな商売をする町人、多くの奉公人を使う大きな百姓などは、身分が重く貴い者と言うべきです。
解説
身分の差を、仕事の難しさで説明します。心を使う仕事が難しく、体を使う仕事がやさしい、という区分は今日から見れば粗いものですが、重要なのは身分が生まれではなく職務の性質から来るとした点です。身分を固定したものから、選び取れるものへ組み替える論理で、次の段でその含意がはっきりします。医者や学者と並んで商人や大百姓が挙げられているのも、士農工商の序列を崩す配置です。
この章句が説くこと
職業難易身分心労序列
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