不動智神妙録 / 諫言 其三 人を見る
たとへは我一人いかに矢猛に主人に忠を盡さんと思ふとも、一家の人和せず、柳生谷一郷の民背きなば、何事も皆相違仕るべし、
新字:たとへは我一人いかに矢猛に主人に忠を尽さんと思ふとも、一家の人和せず、柳生谷一郷の民背きなば、何事も皆相違仕るべし、
書き下し
たとへは我一人いかに矢猛に主人に忠を尽さんと思ふとも、一家の人和せず、柳生谷一郷の民背きなば、何事も皆相違仕るべし、
現代語訳
たとえ自分一人がどんなに猛々しく主君に忠を尽くそうと思っても、一家の人々が和せず、柳生谷一郷の民が背くようであれば、何事もみな食い違ってしまうでしょう。
解説
柳生谷は、宗矩の本拠地である大和国の柳生の里である。どれほど自分一人が主君に尽くそうと意気込んでも、足もとの家族や領民の心が離れていれば、すべてが空回りする、と沢庵は言う。外に向けた忠誠や成果ばかりを追い、身近な家族や社員、地元の人々との関係をおろそかにする危うさを突いている。大きな目標を掲げる人ほど、足もとの和を固めることが先決だという教えは、今日の経営にもそのまま当てはまる。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
足もと家族地域和柳生組織
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『家道訓』巻之三・総論下一子孫弟姪のともがら、生れつきて愚不肖なれば、いかに教へいましめても、其の不徳改らず、いさめをふせぎてうけ用ひず。いさむればかへつて心にさからひ、うらみそむき、不和にいたる。時々いさめて聴かずんば、いはずして和を失はざるにしかず。かくあしく生れつきたるは、聖賢といへどもいかんともすべからず。堯舜の子の不肖なるを以て知るべし。聖人、頑なるを怒り憎むことなかれと宣ふ。赤子の井におち入るが如し。あはれむべし、憎むべからず。
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『家道訓』巻之一・総論上一家ををさむるにも、忍の字を用ふべし。忍とはこらふるなり、堪忍するをいふ。おごりをおさへて、慾をほしいままにせざるもこらふるなり。又、わが家の貧なるをこらへて、人をむさぼらざるべし。凡の人君子にあらざれば、わが心にかなはざる事多し。堪忍せざれば人の交は和がず。然るに父兄は、子弟のおのれにつかへやう足らずして、心にかなはざれば子弟を責む。子弟は、父兄のめぐみうすくして、あきたらざれば父兄をうらむ。其の余、夫婦親戚も亦しかり。たがひに堪忍せざれば、いかりうらみ出来て、父子兄弟夫婦親戚の間むつまじからず。此ゆゑに、人の行のわが心にかなはざることを、たがひに堪忍してうらみいからざれば、一家の内やはらぎしたしむ。是家をととのふる道なり。又人のあしきをばゆるして堪忍し、わが身には道をつくして、人に堪忍せらるる行をなすべからず。
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礼記・楽記是の故に楽、宗廟の中に在りて、君臣上下同じくこれを聴けば則ち和敬せざる莫し。族長郷里の中に在りて、長幼同じくこれを聴けば則ち和順せざる莫し。閨門の内に在りて、父子兄弟同じくこれを聴けば則ち和親せざる莫し。故に楽は一を審らかにして以て和を定め、物を比して以て節を飾り、節奏合して以て文を成す。父子君臣を合和し、万民を附親する所以なり。是れ先王の楽を立つるの方なり。
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