不動智神妙録 / 一心の明らめやう
世の中に心を知らぬ人は可有候、能く明らめ候人は稀にも有りがたく見及び候、たまたま明らめ知る事もまた行ひ候事成り難く、此の一心を能く說くとて心を明めたるにてはあるまじく候、水の事を講釋致し候とても口はぬれ不申候火を能く說くとも口は熱からず、誠の水誠の火に觸れてならでは知れぬもの也。書を講釋したるまでにては知れ不申候、食物をよく說くとてもひだるき事は直り不申候、
新字:世の中に心を知らぬ人は可有候、能く明らめ候人は稀にも有りがたく見及び候、たまたま明らめ知る事もまた行ひ候事成り難く、此の一心を能く説くとて心を明めたるにてはあるまじく候、水の事を講釈致し候とても口はぬれ不申候火を能く説くとも口は熱からず、誠の水誠の火に触れてならでは知れぬもの也。書を講釈したるまでにては知れ不申候、食物をよく説くとてもひだるき事は直り不申候、
書き下し
世の中に心を知らぬ人は可有候、能く明らめ候人は稀にも有りがたく見及び候、たまたま明らめ知る事もまた行ひ候事成り難く、此の一心を能く説くとて心を明めたるにてはあるまじく候、水の事を講釈致し候とても口はぬれ不申候火を能く説くとも口は熱からず、誠の水誠の火に触れてならでは知れぬもの也。書を講釈したるまでにては知れ不申候、食物をよく説くとてもひだるき事は直り不申候、
現代語訳
世の中に、心を知らない人はいるでしょう。よく明らめた人は、まれにもめったに見かけません。たまたま明らめ知ったとしても、それを行うことはまた難しく、この一つの心をうまく説けたからといって、心を明らめたことにはならないでしょう。水のことを講釈しても、口は濡れません。火のことをうまく説いても、口は熱くなりません。本当の水、本当の火に触れなければ、分からないものです。書物を講釈しただけでは分かりません。食べ物のことをよく説いても、空腹は治りません。
解説

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