塩鉄論 / 詔聖篇
御史默然不對。大夫曰:「瞽師不知白黑而善聞言、儒者不知治世而善訾議。夫善言天者合之人、善言古者考之今。令何為施?法何為加?湯、武全肌骨而殷、周治、秦國用之、法弊而犯。二尺四寸之律、古今一也、或以治、或以亂。春秋原罪、甫刑制獄。今願聞治亂之本、周、秦所以然乎?」
新字:御史黙然不対。大夫曰:「瞽師不知白黒而善聞言、儒者不知治世而善訾議。夫善言天者合之人、善言古者考之今。令何為施?法何為加?湯、武全肌骨而殷、周治、秦国用之、法弊而犯。二尺四寸之律、古今一也、或以治、或以乱。春秋原罪、甫刑制獄。今願聞治乱之本、周、秦所以然乎?」
書き下し
御史默然として對えず。大夫曰く、瞽師は白黑を知らずして善く言を聞き、儒者は世を治むるを知らずして善く訾議す。夫れ善く天を言う者は之を人に合わせ、善く古を言う者は之を今に考う。令は何の為にか施かん。法は何の為にか加えん。湯・武は肌骨を全うして殷・周治まる。秦國之を用いて、法弊れて犯さる。二尺四寸の律、古今一なり。或いは以て治まり、或いは以て亂る。春秋は罪を原ね、甫刑は獄を制す。今、願わくは治亂の本、周・秦の然る所以を聞かん。
現代語訳
御史は黙り込んで答えられなかった。大夫が言った。「盲目の楽師は白と黒を知らないのに言葉を聞き分けるのがうまく、儒者は世を治めることを知らないのに非難や議論がうまい。天をうまく語る者はそれを人に合わせ、古をうまく語る者はそれを今に照らす。令は何のために施くのか。法は何のために加えるのか。湯王と武王は肌も骨も傷つけずに殷と周は治まった。秦がそれを用いると、法は古びて犯された。二尺四寸の律は、古も今も同じである。それでも、あるときは治まり、あるときは乱れる。春秋は罪の由来を尋ね、甫刑は獄を定めた。いま願わくは、治乱の根本、周と秦がそうなった理由を聞かせてほしい」
解説
御史が黙り込み、大夫が問いの形で場を立て直した場面です。まずは一言、儒者は世を治めることを知らないのに非難がうまい、と刺します。それから本題を置きました。**二尺四寸の律は古も今も同じなのに、あるときは治まり、あるときは乱れる。**同じ条文がなぜ違う結果になるのか、と。ここまで法の量と重さを争ってきた議論を、条文の外に何があるのかという問いに変えた一段です。
この章句が説くこと
二尺四寸の律古今一なり或いは以て治まり或いは以て乱る善く天を言う者は之を人に合わせ善く古を言う者は之を今に考う令は何の為にか施かん法は何の為にか加えん法運用条件
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