塩鉄論 / 世務篇
大夫曰:「諸生妄言!議者令可詳用、無徒守椎車之語、滑稽而不可循。夫漢之有匈奴、譬若木之有蠹、如人有疾、不治則寖以深。故謀臣以為擊奪以困極之。諸生言以德懷之、此有其語而不可行也。諸生上無以似三王、下無以似近秦、令有司可舉而行當世、安蒸庶而寧邊境者乎?」
新字:大夫曰:「諸生妄言!議者令可詳用、無徒守椎車之語、滑稽而不可循。夫漢之有匈奴、譬若木之有蠹、如人有疾、不治則寖以深。故謀臣以為擊奪以困極之。諸生言以徳懐之、此有其語而不可行也。諸生上無以似三王、下無以似近秦、令有司可舉而行当世、安蒸庶而寧辺境者乎?」
書き下し
大夫曰く、諸生妄言す。議者は詳らかに用う可からしめよ。徒らに椎車の語を守り、滑稽にして循う可からざること無かれ。夫れ漢の匈奴有るは、譬えば木の蠹有るが若く、人の疾有るが如し。治めずんば則ち寖く以て深し。故に謀臣以為えらく、擊ち奪いて以て之を困極せしめんと。諸生は德を以て之を懷けよと言う。此れ其の語有りて行う可からざるなり。諸生は上は以て三王に似る無く、下は以て近く秦に似る無し。有司をして舉げて當世に行い、蒸庶を安んじ邊境を寧んず可きもの有らしめんか。
現代語訳
大夫が言った。「書生たちは勝手なことを言う。議論するなら、そのまま使えるように詳しく言え。ただ大昔の粗末な車の話を守って、おどけていて筋の追えないことを言うな。漢に匈奴があるのは、たとえば木に虫がいるようなもの、人に病があるようなものだ。治さなければしだいに深くなる。だから謀臣たちは、撃って奪い、追い詰めようと考えたのだ。書生たちは徳で懐かせよと言う。これは言葉としてはあっても、行えないものだ。書生たちは、上は三王に似ることもなく、下は近い秦に似ることもない。役人が取り上げて今の世に行え、民を安んじ辺境を静められるようなものが、何か一つでもあるのか」
解説
議論が長引いたところで、大夫が実行できる案を出せと迫った段です。匈奴があるのは木に虫がいるようなもの、人に病があるようなもので、治さなければ深くなる、と。徳で懐かせよという言葉は、**言葉としてはあっても、行えない**と切り捨てます。上は三王に似ず、下は秦にも似ない。どちらの前例にも当てはまらない話をしている、という詰め方です。締めは一行の要求でした。役人が取り上げて今日から行えるものを、一つでも出せるのか、と。
この章句が説くこと
有司をして舉げて当世に行う可きもの有らしめんか徳を以て之を懐けよとは其の語有りて行う可からず漢の匈奴有るは木の蠹有るが若し実行理想対策
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