塩鉄論 / 備胡篇
大夫曰:「古者、明王討暴衛弱、定傾扶危。衛弱扶危、則小國之君悅、討暴定傾、則無罪之人附。今不征伐、則暴害不息、不備、則是以黎民委敵也。春秋貶諸侯之後、刺不卒戍。行役戍備、自古有之、非獨今也。」
新字:大夫曰:「古者、明王討暴衛弱、定傾扶危。衛弱扶危、則小国之君悅、討暴定傾、則無罪之人附。今不征伐、則暴害不息、不備、則是以黎民委敵也。春秋貶諸侯之後、刺不卒戍。行役戍備、自古有之、非独今也。」
書き下し
大夫曰く、古者、明王は暴を討ちて弱を衛り、傾を定めて危を扶く。弱を衛り危を扶くれば、則ち小國の君悅び、暴を討ちて傾を定むれば、則ち無罪の人附く。今、征伐せざれば、則ち暴害息まず、備えざれば、則ち是れ黎民を以て敵に委ぬるなり。春秋は諸侯の後を貶し、戍を卒えざるを刺る。行役戍備は、古より之れ有り、獨り今のみに非ざるなり。
現代語訳
大夫が言った。「昔、賢明な王は暴虐を討って弱者を守り、傾いたものを立て直し、危ういものを支えた。弱者を守り危ういものを支えれば小国の君主は喜び、暴虐を討って傾きを正せば罪なき人々が寄ってくる。いま討伐しなければ暴害は止まず、備えなければ、それは民を敵に委ねることになる。春秋は諸侯の後継を貶し、守備の任を最後まで務めなかったことを非難している。労役や辺境守備は昔からあることで、今に始まったことではない」
解説
「ひと世代では片づかない」への返答で、論点を義務に移した段です。**討伐しなければ暴害は止まず、備えなければ民を敵に委ねることになる。**さらに春秋を引き、守備を途中で投げ出した諸侯が非難された例を挙げる。労役も辺境守備も昔からあることで、今に始まった負担ではない、と。効率を問われたときに、責任と前例で返す。この討論がくり返し陥る噛み合わなさが、ここでも出ています。
この章句が説くこと
備えざれば則ち是れ黎民を以て敵に委ぬるなり行役戍備は古より之れ有り独り今のみに非ず暴を討ちて弱を衛る義務負担前例
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