塩鉄論 / 繇役篇
大夫曰:「詩云:『獫狁孔熾、我是用戒。』『武夫潢潢、經營四方。』故守禦征伐、所由來久矣。春秋大戎未至而豫禦之。故四支強而躬體固、華葉茂而本根據。故飭四境所以安中國也、發戍漕所以審勞佚也。主憂者臣勞、上危者下死。先帝憂百姓不贍、出禁錢、解乘輿驂、貶樂損膳、以賑窮備邊費。未見報施之義、而見沮成之理、非所聞也。」
新字:大夫曰:「詩云:『獫狁孔熾、我是用戒。』『武夫潢潢、経営四方。』故守禦征伐、所由来久矣。春秋大戎未至而予禦之。故四支強而躬体固、華葉茂而本根拠。故飭四境所以安中国也、発戍漕所以審労佚也。主憂者臣労、上危者下死。先帝憂百姓不贍、出禁銭、解乗輿驂、貶楽損膳、以賑窮備辺費。未見報施之義、而見沮成之理、非所聞也。」
書き下し
大夫曰く、詩に云う、「獫狁孔だ熾んなり、我れ是を用て戒む」と。「武夫潢潢たり、四方を經營す」と。故に守禦征伐、由りて來る所久しきなり。春秋は、戎未だ至らずして豫め之を禦ぐを大とす。故に四支強くして躬體固く、華葉茂りて本根據る。故に四境を飭るは中國を安んずる所以なり。戍漕を發するは勞佚を審らかにする所以なり。主憂うれば臣勞し、上危うければ下死す。先帝は百姓の贍らざるを憂え、禁錢を出し、乘輿の驂を解き、樂を貶し膳を損じ、以て窮を賑わし邊費に備う。未だ報施の義を見ずして、成るを沮むの理を見る。聞く所に非ざるなり。
現代語訳
大夫が言った。「詩に『獫狁がはなはだ盛んだ、そこで我らは戒める』とあり、『兵たちは勢い盛んに、四方を治めまわる』とある。だから守り防ぐことと征伐することは、その由来が古い。春秋は、戎がまだ来ないうちにあらかじめ防ぐことを高く評価している。手足が強ければ体が固く、花や葉が茂れば根がしっかり据わる。だから四方の境を整えるのは中国を安んじるためであり、守備と輸送を起こすのは、誰が苦労し誰が楽をしているかを明らかにするためだ。主君が憂えれば臣は労し、上が危うければ下は死ぬ。先帝は民が足りていないことを憂え、内蔵の銭を出し、御車の添え馬を解き、音楽を減らし食膳を削って、窮乏を救い辺境の費用に備えられた。それなのに、恩に報いる義は見えず、成るものを妨げる理屈ばかりが見える。私の聞いたことのある話ではない」
解説
この章句が説くこと
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葉隠・聞書第一覺りの士というのは、事に逢って仕(し)たるように、前方に、それぞれの仕様(しよう)を吟味し置いて、その時に出合い、仕果(しはた)す者である。不覺の士というのは、その時に至って前方に穿鑿せぬのは、不覺の士と申す。
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