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塩鉄論 / 備胡篇

賢良曰:「匈奴處沙漠之中、生不食之地、天所賤而棄之、無壇宇之居、男女之別、以廣野為閭里、以穹廬為家室、衣皮蒙毛、食肉飲血、會市行、牧豎居、如中國之麋鹿耳。好事之臣、求其義、責之禮、使中國干戈至今未息、萬里設備、此兔罝之所刺、故小人非公侯腹心幹城也。」

新字:賢良曰:「匈奴処沙漠之中、生不食之地、天所賤而棄之、無壇宇之居、男女之別、以広野為閭里、以穹廬為家室、衣皮蒙毛、食肉飲血、会市行、牧豎居、如中国之麋鹿耳。好事之臣、求其義、責之礼、使中国干戈至今未息、万里設備、此兔罝之所刺、故小人非公侯腹心幹城也。」

書き下し

賢良曰く、匈奴は沙漠の中に處り、食わざるの地に生じ、天の賤しみて之を棄つる所なり。壇宇の居、男女の別無く、廣野を以て閭里と為し、穹廬を以て家室と為し、皮を衣て毛を蒙り、肉を食い血を飲み、市に會して行き、牧豎して居る、中國の麋鹿の如きのみ。好事の臣、其の義を求め、之を禮に責め、中國の干戈をして今に至るまで未だ息まざらしめ、萬里に備を設く、此れ兔罝の刺る所なり、故に小人は公侯の腹心幹城に非ざるなり。

現代語訳

賢良が言った。「匈奴は砂漠の中に住み、作物の育たない土地に生まれ、天が卑しんで見捨てた地にいます。祭壇も屋敷もなく、男女の別もない。広い野を村里とし、丸い天幕を家とし、皮を着て毛をかぶり、肉を食い血を飲む。市が立てば集まって移動し、牧童のように暮らしている。中国でいえば鹿のようなものです。事を好む臣下が、その者たちに義を求め、礼を責め立てたために、中国の戦は今に至るまで止まず、万里にわたって備えを置くことになった。詩経の『兎罝』が刺しているのはこのことです。だから小人は、公侯の腹心にも守りの城にもなりません」

解説

大夫の「不仁に備える」を、備えを作った側の責任に読み替えた段です。匈奴の暮らしを砂漠の遊牧として描き、中国でいえば鹿のようなものだ、と位置づける。**そこへ義を求め礼を責め立てた臣下がいたから、戦が止まなくなった。**脅威が先にあったのではなく、脅威として扱ったことが戦を呼んだ、という因果の逆転です。締めで「小人は腹心にも守りの城にもならない」と、事を好む臣下そのものを名指しします。

この章句が説くこと

好事の臣其の義を求め之を礼に責む中国の干戈をして今に至るまで未だ息まざらしむ中国の麋鹿の如きのみ対立外交脅威

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