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塩鉄論 / 水旱篇

賢良曰:「卒徒工匠!故民得占租鼓鑄、煮鹽之時、鹽與五穀同賈、器和利而中用。今縣官作鐵器、多苦惡、用費不省、卒徒煩而力作不盡。家人相一、父子戮力、各務為善器、器不善者不集。農事急、挽運衍之阡陌之間。民相與市買、得以財貨五穀新幣易貨、或時貰民、不棄作業。置田器、各得所欲。更繇省約、縣官以徒復作繕治道橋諸發、民便之。今總其原、壹其賈、器多堅、善惡無所擇。吏數不在、器難得。家人不能多儲、多儲則鎮生。棄膏腴之日、遠市田器、則後良時。鹽、鐵賈貴、百姓不便。貧民或木耕手耨、土耰淡食。鐵官賣器不售或頗賦與民。卒徒作不中呈、時命助之。發征無限、更繇以均劇、故百姓疾苦之。古者、千室之邑、百乘之家、陶冶工商、四民之求、足以相更。故農民不離畦畝、而足乎田器、工人不斬伐而足乎材木、陶冶不耕田而足乎粟米、百姓各得其便、而上無事焉。是以王者務本不作末、去炫耀、除雕琢、湛民以禮、示民以樸、是以百姓務本而不營於末。」

新字:賢良曰:「卒徒工匠!故民得占租鼓鋳、煮塩之時、塩与五穀同賈、器和利而中用。今県官作鉄器、多苦悪、用費不省、卒徒煩而力作不尽。家人相一、父子戮力、各務為善器、器不善者不集。農事急、挽運衍之阡陌之間。民相与市買、得以財貨五穀新幣易貨、或時貰民、不棄作業。置田器、各得所欲。更繇省約、県官以徒復作繕治道橋諸発、民便之。今総其原、壱其賈、器多堅、善悪無所択。吏数不在、器難得。家人不能多儲、多儲則鎮生。棄膏腴之日、遠市田器、則後良時。塩、鉄賈貴、百姓不便。貧民或木耕手耨、土耰淡食。鉄官売器不售或頗賦与民。卒徒作不中呈、時命助之。発征無限、更繇以均劇、故百姓疾苦之。古者、千室之邑、百乗之家、陶冶工商、四民之求、足以相更。故農民不離畦畝、而足乎田器、工人不斬伐而足乎材木、陶冶不耕田而足乎粟米、百姓各得其便、而上無事焉。是以王者務本不作末、去炫耀、除雕琢、湛民以礼、示民以樸、是以百姓務本而不営於末。」

書き下し

賢良曰く、卒徒工匠とや。故に民の租を占めて鼓鑄し、鹽を煮るを得し時、鹽は五穀と賈を同じくし、器は和利にして用に中れり。今、縣官の鐵器を作るや、多く苦惡にして、用費省かれず、卒徒煩わしくして力作盡くさず。家人相い一にし、父子力を戮せ、各々善器を為るを務め、器の善からざる者は集まらず。農事急なれば、挽運して之を阡陌の間に衍く。民相い與に市買し、財貨・五穀・新幣を以て貨に易うるを得、或いは時に民に貰し、作業を棄てず。田器を置くに、各々欲する所を得たり。更繇は省約にして、縣官は徒を以て復た作りて道橋諸發を繕治す、民之を便とせり。今、其の原を總べ、其の賈を壹にすれば、器多く堅くして、善惡擇ぶ所無し。吏數しば在らず、器得難し。家人多く儲うる能わず、多く儲うれば則ち鎮生ず。膏腴の日を棄てて、遠く田器を市れば、則ち良時に後る。鹽・鐵の賈貴くして、百姓便ならず。貧民は或いは木もて耕し手もて耨り、土耰して淡食す。鐵官は器を賣るも售れず、或いは頗る民に賦與す。卒徒作りて呈に中らず、時に命じて之を助けしむ。發征限り無く、更繇以て劇を均しくす、故に百姓之に疾苦す。古者、千室の邑、百乘の家、陶冶工商、四民の求め、以て相い更うるに足れり。故に農民は畦畝を離れずして田器に足り、工人は斬伐せずして材木に足り、陶冶は田を耕さずして粟米に足る、百姓各々其の便を得て、上は事無し。是を以て王者は本を務めて末を作さず、炫耀を去り、雕琢を除き、民を湛うるに禮を以てし、民に示すに樸を以てす、是を以て百姓は本を務めて末に營まず。

現代語訳

賢良が言った。「兵卒や工匠、とおっしゃいますが。かつて民が税を納めたうえで自分で鋳造し、塩を煮ることができたころ、塩は穀物と同じ値段で、道具はほどよく切れて使い物になりました。いま官が鉄器を作ると、多くは粗悪で、費用は削られず、兵卒は使役に煩わされて全力を出しません。民間では一家が力を合わせ、父子が力を尽くして、それぞれ良い道具を作ろうと務め、出来の悪い道具は買い手がつかなかった。農事が急なときは、道具を運んで畦道の間まで届けた。民は互いに売り買いし、財貨でも穀物でも新しい銭でも取り替えられ、ときには掛け売りにしてもらえたので、仕事の手を止めずに済んだ。農具を備えるにも、それぞれ欲しいものが手に入った。労役も少なくて済み、官は人夫を使ってあらためて道や橋を修繕したので、民はそれを便利としたのです。いまは供給の元を統括し、値を一つにしたので、道具は硬いばかりで、良し悪しを選ぶ余地がない。役人はしばしば不在で、道具は手に入りにくい。民間では多く蓄えることができず、多く蓄えれば錆が出る。地味の肥えた土地の作業日をつぶして、遠くまで農具を買いに行けば、良い時期に遅れてしまう。塩と鉄は値が高く、民には不便です。貧しい者は木で耕し手で草を取り、土をならして味のない食事をしている。鉄官は道具を売っても売れず、ときには民に割り当てて押しつける。兵卒は作っても規定に達せず、そのたびに命じて助けさせる。徴発には限りがなく、労役で忙しさを均そうとする。だから民はこれに苦しんでいるのです。昔は、千戸の村、百乗の家に、陶工も鍛冶も職人も商人もいて、四民の求めるものが互いに取り替えられるだけそろっていました。だから農民は畑を離れずに農具が手に入り、職人は木を伐りに行かずに材木が手に入り、陶工や鍛冶は田を耕さずに穀物が手に入った。民はそれぞれ便を得て、上は何もすることがなかった。だから王者は本業を務めて末業を起こさず、飾り立てを去り、彫り物を除き、民を礼で満たし、民に質朴を示す。だから民は本業を務めて末業に手を出さないのです」

解説

大夫の「兵卒や工匠は」という言い方を、そのまま繰り返して切り返した段です。専売前の姿を細かく描きます。**出来の悪い道具は、買い手がつかなかった。**選べたから品質が保たれた、と。いまは値も規格も一つで、良し悪しを選ぶ余地がない。役人は不在がち、多く蓄えれば錆が出る、農繁期をつぶして遠くまで買いに行けば時期に遅れる。売れ残りの押しつけまで並べます。品質の議論を、選択肢があるかどうかの議論に置き換えた段です。

この章句が説くこと

器の善からざる者は集まらず其の原を総べ其の賈を壱にすれば善悪択ぶ所無し膏腴の日を棄てて遠く田器を市れば則ち良時に後る選択品質専売

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