塩鉄論 / 散不足篇
「古者、無杠樠之寢、床栘之案。及其後世、庶人即采木之杠、牒樺之樠。士不斤成、大夫葦莞而已。今富者黼繡帷幄、塗屏錯跗。中者錦綈高張、采畫丹漆。
新字:「古者、無杠樠之寝、床栘之案。及其後世、庶人即采木之杠、牒樺之樠。士不斤成、大夫葦莞而已。今富者黼繡帷幄、塗屏錯跗。中者錦綈高張、采画丹漆。
書き下し
古者、杠樠の寢、床栘の案無し。其の後世に及び、庶人は即ち采木の杠、牒樺の樠なり。士は斤成せず、大夫は葦莞のみ。今富者は黼繡の帷幄、塗屏錯跗なり。中なる者は錦綈高く張り、采畫丹漆なり。
現代語訳
昔は、飾りをつけた寝台も、脚のついた机もなかった。後の世になると、庶民でも切り出した木の脚、薄板を張った台を用いた。士は斧を入れて仕上げることをせず、大夫でも葦や藺草の敷物ばかりだった。いまは富める者が刺繍を施した帳を張り、彩色した屏風に象嵌の脚を用いる。中くらいの者でも錦の帳を高く張り、彩色と朱漆を施している。
解説
室内の調度です。並び方はここまでと同じで、無かったものが庶民に下り、それが飾られていく。この篇の各段はどれも短く、内容も似通っています。ただ、延々と続くこと自体に意味があります。**贅沢は一つの品目で起きるのではなく、暮らしの全項目で同時に起きる**。だから一つずつ見れば大したことがなく、全部を足すと家計が回らなくなる。読み手に総和を体感させるための構成です。
この章句が説くこと
杠樠の寝床栘の案無し黼繡の帷幄塗屏錯跗士は斤成せず調度素朴逸脱
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