塩鉄論 / 散不足篇
「古者、鹿裘皮冒、蹄足不去。及其後、大夫士狐貉縫腋、羔麑豹袪。庶人則毛絝衳彤、羝襆皮䙏。今富者鼲貂、狐白鳧翁。中者罽衣金縷、燕䶅代黃。
新字:「古者、鹿裘皮冒、蹄足不去。及其後、大夫士狐貉縫腋、羔麑豹袪。庶人則毛絝衳彤、羝襆皮䙏。今富者鼲貂、狐白鳧翁。中者罽衣金縷、燕䶅代黄。
書き下し
古者、鹿裘皮冒、蹄足去らず。其の後に及び、大夫士は狐貉の縫腋、羔麑の豹袪なり。庶人は則ち毛絝衳彤、羝襆皮䙏なり。今富者は鼲貂、狐白鳧翁なり。中なる者は罽衣金縷、燕䶅代黃なり。
現代語訳
昔は、鹿の皮衣に皮の帽子で、蹄も足も落とさないまま着ていた。後の世になると、大夫や士は狐や狢の毛皮を脇で縫い合わせ、子羊や小鹿の皮に豹の袖口をつけた。庶民は毛の袴に赤い上着、羊の皮で作った包みや覆いを用いた。いまは富める者が貂や白狐の毛皮、水鳥の綿毛を用いる。中くらいの者でも毛織の衣に金糸を通し、燕の地の獣や代郡の黄色い毛皮を着ている。
解説
毛皮の四段階です。蹄も足も落とさない鹿皮から、脇を縫い合わせた狐や狢へ、そして貂と白狐へ。同じ「暖を取る」という用に対して、手のかけ方だけが上がっていきます。ここでも上から下へ広がる形は同じで、いまは中くらいの者が、かつての大夫の水準を超えている。**基準が上がり続けると、それに追いつくこと自体が固定費になる**——次の段以降で、その負担が数字になって現れます。
この章句が説くこと
鹿裘皮冒蹄足去らず鼲貂狐白罽衣金縷衣服素朴逸脱
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