塩鉄論 / 散不足篇
「古者、燔黍食稗、而捭豚以相饗。其後、鄉人飲酒、老者重豆、少者立食、一醬一肉、旅飲而已。及其後、賓婚相召、則豆羹白飯、綦膾熟肉。今民間酒食、殽旅重疊、燔炙滿案、臑鱉膾鯉、麑卵鶉鷃橙枸、鮐鱧醢醯、眾物雜味。
新字:「古者、燔黍食稗、而捭豚以相饗。其後、鄉人飲酒、老者重豆、少者立食、一醬一肉、旅飲而已。及其後、賓婚相召、則豆羹白飯、綦膾熟肉。今民間酒食、殽旅重畳、燔炙満案、臑鱉膾鯉、麑卵鶉鷃橙枸、鮐鱧醢醯、眾物雑味。
書き下し
古者、黍を燔き稗を食い、而して豚を捭きて以て相い饗す。其の後、鄉人酒を飲むに、老者は豆を重ね、少者は立ちて食う、一醬一肉、旅飲するのみ。其の後に及び、賓婚相い召せば、則ち豆羹白飯、綦膾熟肉なり。今民間の酒食は、殽旅重疊し、燔炙案に滿ち、臑鱉膾鯉、麑卵鶉鷃橙枸、鮐鱧醢醯、眾物雜味なり。
現代語訳
昔は、黍を焼き稗を食べ、豚を裂いて互いにもてなした。その後、郷里の人が酒を飲むときには、老人には器を重ねて出し、若者は立ったまま食べ、醤が一皿、肉が一皿、みなで飲むだけだった。さらに後になると、客や婚礼で招き合うときには、汁物と白飯、細切りの膾と煮た肉が出るようになった。いまの民間の酒食は、料理が幾重にも重ねられ、焼き物炙り物が膳に満ち、柔らかく煮た鼈、鯉の膾、小鹿、卵、鶉、橙や枸杞、河豚や雷魚、塩辛や酢の物と、あらゆる物の味が混ざり合っている。
解説
宴席です。三段階の変化が示されます。焼いた黍と稗と裂いた豚。醤一皿と肉一皿。汁と白飯と膾と煮肉。そしていま、膳に載りきらないほどの料理。**老人には器を重ね、若者は立って食べる**という細部が印象的で、限られた量をどう配るかに秩序があったことが分かります。量が増えると、この配り方の意味が消えます。何をどれだけ出すかは、もてなしの技術であると同時に、序列の表現でもありました。
この章句が説くこと
一醬一肉旅飲するのみ燔炙案に満つ黍を燔き稗を食う飲食宴席節度
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