塩鉄論 / 散不足篇
丞相曰:「願聞散不足。」賢良曰:「宮室輿馬、衣服器械、喪祭食飲、聲色玩好、人情之所不能已也。故聖人為之制度以防之。間者、士大夫務於權利、怠於禮義、故百姓仿效、頗踰制度。今故陳之、曰:
新字:丞相曰:「願聞散不足。」賢良曰:「宮室輿馬、衣服器械、喪祭食飲、声色玩好、人情之所不能已也。故聖人為之制度以防之。間者、士大夫務於権利、怠於礼義、故百姓仿効、頗踰制度。今故陳之、曰:
書き下し
丞相曰く、願わくは散不足を聞かん、と。/賢良曰く、宮室輿馬、衣服器械、喪祭食飲、聲色玩好は、人情の已む能わざる所なり。故に聖人之が制度を為して以て之を防ぐ。間者、士大夫は權利に務め、禮義に怠る、故に百姓仿效して、頗る制度を踰ゆ。今故に之を陳べん、と。
現代語訳
丞相が言った。「その『散不足』について聞かせてほしい」。/賢良が言った。「宮室や車馬、衣服や器物、葬祭や飲食、音楽や女色や愛玩の品——これらは人の情としてやめられないものです。だから聖人はこれに制度を定めて、歯止めとしました。近ごろは士大夫が利権に努めて礼義を怠っています。だから民がそれを真似して、制度をかなり踏み越えているのです。それを今から申し上げます」
解説
丞相が自ら「聞かせてほしい」と切り出しました。序列でいちばん上の人物が、はじめてまともに問うている。答えの前置きが要点です。**欲は止められない。だから聖人は禁じるのではなく、制度で歯止めをつくった。**そして歯止めが外れる順序を明示します。まず士大夫が礼義を怠り、それを民が真似る。上から崩れる、という診断です。ここから先の散不足篇は、その具体例が延々と並びます。
この章句が説くこと
人情の已む能わざる所故に聖人之が制度を為して以て之を防ぐ士大夫は権利に務め礼義に怠る百姓仿効して制度を踰ゆ制度欲望模倣
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