塩鉄論 / 利議篇
大夫曰:「嘻!諸生阘茸無行、多言而不用、情貌不相副。若穿踰之盜、自古而患之。是孔丘斥逐於魯君、曾不用於世也。何者?以其首攝多端、迂時而不要也。故秦王燔去其術而不行、坑之渭中而不用。乃安得鼓口舌、申顏眉、預前論議、是非國家之事也?」
新字:大夫曰:「嘻!諸生阘茸無行、多言而不用、情貌不相副。若穿踰之盗、自古而患之。是孔丘斥逐於魯君、曽不用於世也。何者?以其首摂多端、迂時而不要也。故秦王燔去其術而不行、坑之渭中而不用。乃安得鼓口舌、申顏眉、預前論議、是非国家之事也?」
書き下し
大夫曰く、嘻、諸生は闒茸にして行無く、多言にして用いられず、情貌相い副わず。穿踰の盜の若く、古より之を患う。是れ孔丘の魯君に斥逐せられ、曾て世に用いられざる所以なり。何ぞや。其の首攝端多くして、時に迂にして要ならざるを以てなり。故に秦王は其の術を燔き去りて行わず、之を渭中に坑にして用いず。乃ち安んぞ口舌を鼓し、顏眉を申べ、前に預りて論議し、國家の事を是非するを得んや。
現代語訳
大夫が言った。「ああ、諸君は無能で行いがなく、口数ばかり多くて用いられず、内実と外見が食い違っている。壁を破って入る盗人のようなもので、昔からこれを憂えてきた。孔丘が魯の君に追い出され、ついに世に用いられなかったのもそのためだ。なぜか。持ち出す論点が多すぎて、時勢に対して遠回りで、要を得ないからである。だから秦王はその学術を焼き払って行わせず、渭水のほとりに生き埋めにして用いなかった。それなのに、どうして口先を叩き、眉を上げて、この場に加わって議論し、国家の事の是非を論じられようか」
解説
議論が最も低いところへ落ちた段です。焚書坑儒を持ち出しました。秦王はお前たちを焼いて埋めた、だから黙れ、と。論ではなく威嚇です。しかも前の篇で文学が、秦が滅んだ理由は口をふさいだからだと述べたばかりで、そこへこの言葉を返しているのだから、事実上その指摘を裏づけてしまっている。追い詰められた側が力を持ち出した瞬間、その議論では負けている——読む側にはそれが見えます。
この章句が説くこと
秦王は其の術を燔き去りて行わず多言にして用いられず情貌相い副わず時に迂にして要ならず封殺圧力議論
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