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塩鉄論 / 褒賢篇

大夫曰:「文學言行雖有伯夷之廉、不及柳下惠之貞、不過高瞻下視、絜言汙行、觴酒豆肉、遷延相讓、辭小取大、雞廉狼吞。趙綰、王臧之等、以儒術擢為上卿、而有奸利殘忍之心。主父偃以口舌取大官、竊權重、欺紿宗室、受諸侯之賂、卒皆誅死。東方朔自稱辯略、消堅釋石、當世無雙、然省其私行、狂夫不忍為、況無東方朔之口、其餘無可觀者也?」

新字:大夫曰:「文学言行雖有伯夷之廉、不及柳下恵之貞、不過高瞻下視、絜言汙行、觴酒豆肉、遷延相譲、辞小取大、雞廉狼吞。趙綰、王臧之等、以儒術擢為上卿、而有奸利残忍之心。主父偃以口舌取大官、竊権重、欺紿宗室、受諸侯之賂、卒皆誅死。東方朔自称弁略、消堅釈石、当世無双、然省其私行、狂夫不忍為、況無東方朔之口、其余無可観者也?」

書き下し

大夫曰く、文學の言行は伯夷の廉有りと雖も、柳下惠の貞に及ばず、高く瞻て下を視、言を絜くして行いを汙し、觴酒豆肉、遷延して相い讓り、小を辭して大を取る、雞のごとく廉にして狼のごとく吞むに過ぎず。趙綰・王臧の等は、儒術を以て擢でられて上卿と為るも、而も奸利殘忍の心有り。主父偃は口舌を以て大官を取り、權重を竊み、宗室を欺紿し、諸侯の賂を受く、卒に皆誅死す。東方朔は自ら辯略、堅を消し石を釋かし、當世無雙なりと稱す、然れども其の私行を省みれば、狂夫すら忍びて為さず、況んや東方朔の口無きをや、其の余は觀るべき者無きなり。

現代語訳

大夫が言った。「文学の言行は伯夷の清廉さがあるとはいえ、柳下恵の堅さには及ばない。高いところから下を見下ろし、言葉を清くしながら行いは汚れている。杯の酒や器の肉を前にしては引き下がって譲り合うが、小さいものは辞退して大きいものは取る。鶏のように小さく廉直で、狼のように呑み込むだけだ。趙綰や王臧の連中は儒学によって抜擢され上卿となったが、不正な利をむさぼる残忍な心があった。主父偃は弁舌で高官を得て、重い権力を盗み取り、王族を欺き、諸侯の賄賂を受け、結局はみな誅殺された。東方朔は自分の弁舌の切れ味を、堅いものを溶かし石を融かす、当世に並ぶ者なしと称した。それでも私生活を見れば、常軌を逸した者でさえやらないことをしている。まして東方朔ほどの弁舌もない者ならなおさらだ。その他に見るべき者はいない」

解説

「小を辞して大を取る、鶏のごとく廉にして狼のごとく呑む」——痛烈な一句です。目に見える小さな場面では律義に譲ってみせ、大きなところではしっかり取る。細かい経費には厳しいのに大きな判断では自分に甘い、という形は、いまも組織のあちこちにあります。そのうえで儒学出身で失脚した者の名を並べる。個別の例を並べて全体を貶める論法ではありますが、指摘そのものは点検に値します。

この章句が説くこと

小を辞して大を取る雞のごとく廉にして狼のごとく吞む言を絜くして行いを汙す体裁実際言行一致

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