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塩鉄論 / 論儒篇

御史曰:「論語:『親於其身為不善者、君子不入也。』有是言而行不足從也。季氏為無道、逐其君、奪其政、而冉求、仲由臣焉。禮:『男女不授受、不交爵。』孔子適衛、因嬖臣彌子瑕以見衛夫人、子路不說。子瑕、佞臣也、夫子因之、非正也。男女不交、孔子見南子、非禮也。禮義由孔氏、且貶道以求容、惡在其釋事而退也?」

新字:御史曰:「論語:『親於其身為不善者、君子不入也。』有是言而行不足従也。季氏為無道、逐其君、奪其政、而冉求、仲由臣焉。礼:『男女不授受、不交爵。』孔子適衛、因嬖臣弥子瑕以見衛夫人、子路不説。子瑕、佞臣也、夫子因之、非正也。男女不交、孔子見南子、非礼也。礼義由孔氏、且貶道以求容、悪在其釈事而退也?」

書き下し

御史曰く、論語に、『其の身に親しく不善を為す者には、君子入らざるなり』と。是の言有りて行い從うに足らざるなり。季氏は無道を為し、其の君を逐い、其の政を奪う、而るに冉求・仲由は焉に臣たり。禮に、『男女は授受せず、爵を交えず』と。孔子は衛に適き、嬖臣の彌子瑕に因りて以て衛夫人に見ゆ、子路說ばず。子瑕は佞臣なり、夫子之に因るは、正に非ざるなり。男女交わらざるに、孔子南子に見ゆるは、禮に非ざるなり。禮義は孔氏に由る、且つ道を貶して以て容を求む、惡くんぞ其の事を釋てて退くに在らんや。

現代語訳

御史が言った。「『論語』には、その身に自ら不善を行う者のもとには君子は入らない、とある。そういう言葉はあるが、行いのほうは従うに足りない。季氏は道に外れたことをし、主君を追い出し、その政権を奪った。それなのに冉求と子路はそこに臣として仕えた。礼には、男女は物を手渡ししない、盃を交わさない、とある。孔子は衛へ行き、寵臣の弥子瑕を頼って衛の夫人に会った。子路は喜ばなかった。弥子瑕はへつらいの臣である。先生がそれを頼ったのは、正しくない。男女は交わらないという礼があるのに、孔子が南子に会ったのは礼ではない。礼義は孔子の一門から出ている。その当人が道を落として受け入れてもらおうとした。どこが仕事を投げ出して退くことになるのか」

解説

御史は孔子自身の行動を持ち出しました。弟子たちは道に外れた季氏に仕え、孔子は佞臣の口利きで衛の夫人に会っている。掲げている基準と、実際の行動が違うではないか、と。言行の一致を突く批判で、答えるのが難しい種類のものです。ここで見るべきは、この応酬が理念そのものではなく、理念を語る人の資格を争う形に移っていることでしょう。議論がそこへ移ると、たいてい実りは減ります。文学は次の段で、資格の話に付き合わずに別の答えを出します。

この章句が説くこと

是の言有りて行い従うに足らず道を貶して以て容を求む其の身に不善を為す者には君子入らず言行一致原則批判

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