塩鉄論 / 輕重篇
文學曰:「扁鵲撫息脈而知疾所由生、陽氣盛、則損之而調陰、寒氣盛、則損之而調陽、是以氣脈調和、而邪氣無所留矣。夫拙醫不知脈理之腠、血氣之分、妄刺而無益於疾、傷肌膚而已矣。今欲損有餘、補不足、富者愈富、貧者愈貧矣。嚴法任刑、欲以禁暴止奸、而奸猶不止、意者非扁鵲之用針石、故眾人未得其職也。」
新字:文学曰:「扁鵲撫息脈而知疾所由生、陽気盛、則損之而調陰、寒気盛、則損之而調陽、是以気脈調和、而邪気無所留矣。夫拙医不知脈理之腠、血気之分、妄刺而無益於疾、傷肌膚而已矣。今欲損有余、補不足、富者愈富、貧者愈貧矣。厳法任刑、欲以禁暴止奸、而奸猶不止、意者非扁鵲之用針石、故眾人未得其職也。」
書き下し
文學曰く、扁鵲は息脈を撫して疾の由りて生ずる所を知る、陽氣盛んなれば、則ち之を損じて陰を調え、寒氣盛んなれば、則ち之を損じて陽を調う、是を以て氣脈調和して、邪氣留まる所無し。夫れ拙醫は脈理の腠、血氣の分を知らず、妄りに刺して疾に益無く、肌膚を傷るのみ。今餘り有るを損じ、足らざるを補わんと欲するに、富者はいよいよ富み、貧者はいよいよ貧し。嚴法もて刑に任じ、以て暴を禁じ奸を止めんと欲するに、奸猶お止まず、意うに扁鵲の針石を用うるに非ず、故に眾人未だ其の職を得ざるなり。
現代語訳
文学が言った。「扁鵲は脈に手を当てて、病がどこから生じているかを知った。陽の気が盛んであればそれを減らして陰を整え、寒の気が盛んであればそれを減らして陽を整える。だから気と脈は調和し、悪い気の留まるところがなかった。ところが下手な医者は、脈の筋目も血気の分かれ目も知らず、やたらに鍼を刺して病には効かず、ただ肌を傷つけるだけである。いま余っているところを削り、足りないところを補おうとしているのに、富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しい。厳しい法と刑に任せて暴虐を禁じ悪事を止めようとしているのに、悪事はやはり止まない。思うに、これは扁鵲の鍼ではないのだ。だから人々は自分の持ち場を得られずにいる」
解説
この章句が説くこと
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