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塩鉄論 / 非鞅篇

大夫曰:「昔商君相秦也、內立法度、嚴刑罰、飭政教、奸偽無所容。外設百倍之利、收山澤之稅、國富民強、器械完飾、蓄積有餘。是以征敵伐國、攘地斥境、不賦百姓而師以贍。故利用不竭而民不知、地盡西河而民不苦。鹽、鐵之利、所以佐百姓之急、足軍旅之費、務蓄積以備乏絕、所給甚眾、有益於國、無害於人。百姓何苦爾、而文學何憂也?」

新字:大夫曰:「昔商君相秦也、内立法度、厳刑罰、飭政教、奸偽無所容。外設百倍之利、収山沢之税、国富民強、器械完飾、蓄積有余。是以征敵伐国、攘地斥境、不賦百姓而師以贍。故利用不竭而民不知、地尽西河而民不苦。塩、鉄之利、所以佐百姓之急、足軍旅之費、務蓄積以備乏絶、所給甚眾、有益於国、無害於人。百姓何苦爾、而文学何憂也?」

書き下し

大夫曰く、昔商君の秦に相たるや、內には法度を立て、刑罰を嚴にし、政教を飭え、奸偽の容るる所無し。外には百倍の利を設け、山澤の稅を收め、國富み民強く、器械完飾し、蓄積餘り有り。是を以て敵を征し國を伐ち、地を攘い境を斥け、百姓に賦せずして師以て贍る。故に利用は竭きずして民は知らず、地は西河を盡くして民は苦しまず。鹽・鐵の利は、百姓の急を佐け、軍旅の費を足し、蓄積に務めて以て乏絕に備うる所以なり、給する所甚だ眾く、國に益有りて、人に害無し。百姓何ぞ爾く苦しまん、而して文學何をか憂うるや。

現代語訳

大夫が言った。「昔、商君が秦の宰相となったとき、内には法制を立て、刑罰を厳しくし、政治と教化を整え、不正や偽りの入り込む余地をなくした。外には百倍の利を生む仕組みを設け、山や沢からの税を収めた。国は富み民は強くなり、武具は整い、蓄えには余りが出た。そのおかげで敵を征伐し他国を討ち、土地を取り境を広げながら、民に税をかけずに軍を養えた。だから財源は尽きないのに民はそれと気づかず、領土は西河まで広がったのに民は苦しまなかった。塩と鉄の利益は、民の急場を助け、軍事費を賄い、蓄えに努めて欠乏に備えるためのものである。供給しているものは非常に多く、国には益があり、人には害がない。民のどこがそんなに苦しいというのか。文学は何を憂えているのか」

解説

非鞅篇に入りました。商鞅の評価をめぐる、この書でいちばん長い論争です。大夫の主張は明快で、要するに「増税せずに財源を作った」。塩鉄という別ルートで国庫を満たしたから、民は負担に気づかなかった、と。「利用竭きずして民知らず」を手柄として誇っている点が重要です。誰も痛みを感じない財源、という言い方は、いまも予算の議論でしばしば出てきます。次の段で文学が、この一句の前提そのものを崩しにかかります。

この章句が説くこと

利用竭きずして民知らず百姓に賦せずして師以て贍る国に益有りて人に害無し財源効率制度

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