孫子 / 謀攻篇
故善用兵者,屈人之兵而非戰也,拔人之城而非攻也,毀人之國而非久也,必以全爭於天下,故兵不頓而利可全,此謀攻之法也。
新字:故善用兵者,屈人之兵而非戦也,抜人之城而非攻也,毀人之国而非久也,必以全争於天下,故兵不頓而利可全,此謀攻之法也。
書き下し
故に善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも戦うに非ざるなり。人の城を抜くも攻むるに非ざるなり。人の国を毀るも久しきに非ざるなり。必ず全きを以て天下に争う。故に兵頓れずして利全くす可し。此れ謀攻の法なり。
現代語訳
そこで戦上手は、敵兵を屈服させても戦闘によってではなく、敵の城を落としても攻撃によってではなく、敵国を破っても長期戦によってではない。必ず、傷つけずそのまま手に入れる形で天下を争う。だから軍は疲弊せず、利益は損なわれない。これが謀攻の方法である。
解説
謀攻篇の結論にあたる一句である。三つの否定を並べたあと、必以全爭於天下という一句が置かれる。全とは、壊さずまるごと手に入れることだ。敵を殲滅するのではなく、敵の兵も城も国も使える状態で取る。そのほうが得だからである。理由も明記されている。兵頓れずして利全くす、自軍は疲れず、得るものも目減りしない。倫理の話ではなく、収支の話として語られているところが孫子らしい。事業の買収や競争にそのまま通じる。価格競争で相手を潰しても、市場そのものが痩せていれば取った意味は薄い。人材を引き抜いても、恨みを残せば後で高くつく。壊さずに手に入れる方法があるなら、そちらのほうが利益は大きい。
この章句が説くこと
短期決戦謀攻全効率非戦成果
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