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塩鉄論 / 通有篇

大夫曰:「五行:東方木、而丹、章有金銅之山、南方火、而交趾有大海之川、西方金、而蜀、隴有名材之林、北方水、而幽都有積沙之地。此天地所以均有無而通萬物也。今吳、越之竹、隋、唐之材、不可勝用、而曹、衛、梁、宋、采棺轉屍、江、湖之魚、萊、黃之鮐、不可勝食、而鄒、魯、周、韓、藜藿蔬食。天地之利無不贍、而山海之貨無不富也、然百姓匱乏、財用不足、多寡不調、而天下財不散也。」

新字:大夫曰:「五行:東方木、而丹、章有金銅之山、南方火、而交趾有大海之川、西方金、而蜀、隴有名材之林、北方水、而幽都有積沙之地。此天地所以均有無而通万物也。今吳、越之竹、隋、唐之材、不可勝用、而曹、衛、梁、宋、采棺転屍、江、湖之魚、萊、黄之鮐、不可勝食、而鄒、魯、周、韓、藜藿蔬食。天地之利無不贍、而山海之貨無不富也、然百姓匱乏、財用不足、多寡不調、而天下財不散也。」

書き下し

大夫曰く、五行は、東方は木にして、丹・章に金銅の山有り、南方は火にして、交趾に大海の川有り、西方は金にして、蜀・隴に名材の林有り、北方は水にして、幽都に積沙の地有り。此れ天地の有無を均しくして萬物を通ずる所以なり。今吳・越の竹、隋・唐の材は、勝げて用うべからざるに、而も曹・衛・梁・宋は、棺を采りて屍を轉ず、江・湖の魚、萊・黃の鮐は、勝げて食らうべからざるに、而も鄒・魯・周・韓は、藜藿蔬食す。天地の利は贍らざる無く、而して山海の貨は富まざる無きなり、然れども百姓匱乏し、財用足らざるは、多寡調わずして、天下の財散ぜざればなり。

現代語訳

大夫が言った。「五行では東方は木だが、丹陽・豫章には金や銅の山がある。南方は火だが、交趾には大海に注ぐ川がある。西方は金だが、蜀や隴には良材の林がある。北方は水だが、幽都には砂の積もった土地がある。これは天地が有る無しを均し、万物を通わせるためのしくみだ。いま呉や越の竹、隋や唐の木材は使い切れないほどあるのに、曹・衛・梁・宋では棺を作る木を集めきれず遺体を転がしている。長江や湖の魚、萊や黄の河豚は食べ切れないほどあるのに、鄒・魯・周・韓では藜や豆の葉で食いつないでいる。天地の産物は行き渡らないところがなく、山海の富はどこも豊かだ。それでも民が困窮し、財が足りないのは、多い少ないが調整されず、天下の財が行き渡らないからだ」

解説

大夫のいちばん強い論点です。問題は生産量ではなく偏在だ、と言い切った。竹も木材も魚も余っている土地があり、同時に棺の木にも食べ物にも困る土地がある。足りないのではなく、動いていない。だから流通と均輸が要る、という筋道です。ここには、生産第一の文学が正面から答えにくい事実があります。現代でも、食料は世界全体では足りているのに飢餓がある、という形で同じ議論が続いています。ただし、その物を動かす仕組みを誰が握るのかが、この先の争点になります。

この章句が説くこと

天地は有無を均しくして万物を通ず多寡調わず天下の財散ぜず地の利あれど百姓匱乏す流通偏在分配

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